自宅アスレチック化計画を始めた当初から作りたいなーと思っていた雲梯。持て余していた廊下に作れたら素敵やなー、と妄想を膨らませること1年強。そんな2020年春、コロナ禍も手伝って重い腰を上げ、設計してみると、なんかできそう。
がしかし、机上の空論じゃないのか?ほんとにやれんのか俺?と一抹の不安を抱えながらも、息子に「うんてい早く作ってよー」と背中を押され続け、着手しましたうんてい製作。
そして、実現しましたDIYうんてい。

本記事では、設計結果をもとに調達・施工した廊下うんてい製作工程のすべてをご紹介します。
失敗しまくってます。

なかなかの超大作ですので適宜目次もご活用ください。クリック・タップでジャンプできます
完成写真 -どんな風になったか-
まずは廊下うんていの完成状態をご覧ください。





構成とコスト
塗料やネジ抜きで約9,000円とローコスト。

資材名 | 仕様 | 必要数 | 調達数量 | 小計 (税込み) | 調達先 | 適用先 |
---|---|---|---|---|---|---|
2×6 SPF材(8F) | 2438×140×38mm | 2438mm×2本 835mm×2本 | 3本 | 3,465円 | ホームセンター | 梁A 梁B |
1×6 SPF材(6F) | 1829×140×19mm | ①170mm ②915mm ③640mm ④720mm | 2本 | 1,166円 (584円/本) | ホームセンター | 長押 |
SUSパイプ(Φ32) | Φ32×3650mm | 540mm×6本 | 1本 | 2,068円 | ホームセンター | バー |
SUSパイプ(Φ25) | Φ25×3650mm | 540mm×6本 | 1本 | 1,518円 | ホームセンター | バー |
シンプソン金具 | LUS26 | 8個 | 8個 | 832円 (104円/個) | ホームセンター | 梁・長押結合 |
軽天ビス | フレキ3.5×51 | 26本 | 40本 | 500円 | Amazon | 長押取り付け |
木ねじ | 皿3.5×20 | 48本 | 100本 | 300円 | ホームセンター | シンプソン金具/長押・梁A/B |
コースレッド | 3.3×50 | 32本 | 70本 | 300円 | ホームセンター | シンプソン金具/長押・梁A/B |
塗料(ベージュ) | 水性フレッシュワイド (アイボリー) | 適量 | 1個 (0.2L) | 700円 | ホームセンター | バー |
塗料(白) | 水性つや消し | 適量 | 1個 (0.5L) | 1,000円 | ホームセンター | 梁・長押・金具 |
必要となる工具・備品類
今回のうんてい製作では工具が色々と必要だったため、手持ちのラインナップが増える結果となりました。
工具名 | 価格 | 用途 |
---|---|---|
パイプカッター | 約1,500円 | SUS管のカット |
ボアビット(Φ32mm) | 約600円 | バー用穴あけ |
ボアビット(Φ25mm) | 約500円 | バー用穴あけ |
電動ドリル | 数千円~ | 穴あけ |
充電式ドライバー | 数千円 | ネジ打ち |
L型アダプター | 約2,000円 | ネジ打ち |
相棒 | プライスレス | 力仕事 |
製作手順
大まかな段取りは以下の通りです。
- STEP1設置場所・仕様の検討
このステップは別記事にまとめています。
- STEP2資材・部品・工具の調達
- 木材(梁A、B、長押)
- ステンレスパイプ(バー)
- 結合金具
- ねじ類
- 塗料
- 加工用工具
- STEP3部品加工
- バーの切り出し・塗装
- 金具塗装
- 木材の切り出し
- 梁Aの穴あけ
- 木材の塗装
- STEP4組み立て・設置
- 梯子組み立て
- 長押取り付け
- 梯子取り付け
- 仕上げ塗装
- STEP 5テスト

ちょっとずつやったので、設計検討から完成まで約1か月かかりました
資材・工具類の調達
設計は済んでいますので、必要な資材・工具類をホームセンターやAmazon等で調達します。
ホームセンターで仕入れるのは特に大物資材。今回のうんていは長さ2.4mの2×6材やSUSパイプなど長物が多いです。


長い資材を買うときの注意点
これまでボルダリングウォールなどを作ってきた中で、長物資材での失敗経験がありますので反映します。

「学習」だね
具体的には、
の2点ですが、それぞれ予防策とやってしまった際の対策を別記事にまとめていますので要すればご参照下さい。
うんていでの対応
今回のうんていでの長物ベスト2は、2位が2×6材の2.4m、1位がSUSパイプの3.6mでした。
2.4mの2×6材はフォレスターにそのまま載りましたのでOK。

ただSUSパイプ3.6mはもう全然自家用車で運べる寸法じゃないので、カットして運びます。今回はホームセンターに頼みました。SUSパイプは1カット180円と地味に高い。太さ違いのSUSパイプ各1本を最終的にはそれぞれ8本ずつに分割して使うのですが、ホームセンターに頼むと約3千円もかかってしまいます。
そこでその場では車に載せるために必要最小限な2分割カットのみお願いし、360円で済ませました。


なお、あとで気付きましたがこの後パイプカッターを使って自前でSUSパイプを計16本作る工程があるので、そのパイプカッターをパイプ購入後に現場でササっと使えば、車に載せれるサイズにタダで加工できたなぁと…

みなさんはぜひそうしてください
部品の加工-金属加工-
資材・工具類がそろったので、加工に入っていきます。まずは部品単位の加工から。

切ったり塗ったり楽しいよっ
今回はバーにステンレスパイプを使うので、私にとっては初めての金属加工。なので技術リスクが高いと考え、先に処理します。

DIYレベル上げ
バーの切り出し

調達したSUSパイプは、元の3.6mから半分の1.8mにカットされています。すなわち
の状態。これをカットして以下の状態に持っていきます。
使うのはパイプカッター。
女性の力でもできる秀逸な道具ですが、SUSパイプは滑りやすいので握力が必要で、それなりに疲れます。

ご覚悟を
グリグリってやってたらものの見事に切れます。


先に太い方(Φ32mm)からやったこともあり、後でやった細い方(Φ25mm)はラクに感じました。
パイプカッターの使い方・注意点はこちらを参照下さい。
バーの塗装
必要長さにカットしたSUSパイプをベージュ色に塗装していきます。が、わたくし実は金属にちゃんと塗装するの初めてでして、要領がよくわかってません。。。

なんとなく難しそう
ということでこのタイミングで勉強しました。結果「めちゃ簡単!」です。何もビビる必要ありません。プライマ(下地)工程さえ抜かさなければ木材塗装となんら変わりません。
金属塗装の詳細なやり方はこちらの記事を参照ください。
そんなこんなで金属塗装デビュー戦でしたが、うんてい設計時にバーの塗装で求められたのは、
でした。それぞれに極力応えます。
絶妙な存在感を出す色味
存在感を消そうと思ったら、壁や天井と同じ白にしてしまえばいいんですが、そうすると子供のやる気も削がれちゃうかなと考えました。

真っ赤でもいいよ!

派手ハデはダメっ!
またそもそもバーが見にくかったらうんていしにくいかもなと思ったりもして。ということで、絶妙に色味を出すため、ベージュ系の色味とすることにしました。
バーの色は家の雰囲気にも大きく影響を与えると考え、とてもとてもこだわったところ。

絶妙な存在感と、明るい雰囲気が欲しい
そのため、SUSパイプの端材を使って計4つのカラーを試し塗り。
- DAISOスプレー塗料(アイボリー)
- DAISOスプレー塗料(アイボリー)+つや消しクリア
- ペンキュア(アイボリー/セミグロス)
- 水性アクリル樹脂塗料(クレイベージュ)
1と2で使用したのは百均(ダイソー)のラッカースプレー。ダイソーにはたくさんのスプレー塗料が売られているのでとっても素敵です。

「①DAISOスプレー塗料(アイボリー)」

右:②ダイソーアイボリー+つや消し
①だとツヤツヤすぎるので、好み的につや消し必須です。
これにさらに③ペンキュアアイボリーと④クレイベージュを塗ってみます。



このバー端材を持ってうんてい設置場所である廊下に行き、照明下で確認したところ、③が一番色的に好み。①②だと明るすぎて存在感がないし、④は少し暗い印象に。③がベスト。
ということで③のペンキュアアイボリー(半つや)に決まりました。
ただこのペンキュア、容量も付属のハケもめちゃ小さいので、バー12本を塗るにはキツイ。そこで、同じメーカーなら同じ色の缶タイプの塗料も出してるんじゃないかと調べたところ…ビンゴ、ありました。

なるべく滑りにくくする
息子が手汗をかきやすいタイプということもあり、うんていバーには滑りにくさが求められます。そのため先ほどのバー端材への試し塗りの際にも、色だけでなく滑りにくさもチェックしました。
この点でも③が良かったのですが、理由はその凹凸にありそうです。①②はスプレー塗装なので表面が滑らかできれいですが、一方③④はハケ塗装なので塗った方向にラインの凸凹が残っています。

握った感じもこの凸凹に少し引っ掛かる感じがあり、摩擦力が増している感触があります。そのため本塗りにおいても塗る方向を長手方向に限定し、刷毛の軌跡をデコボコの形でわざと残すことを意識しました。


金具の塗装
バー塗装で金属塗装をマスターした(気になっている)ので、そのまま金具も塗装してしまいます。ここで言う金具とは、梁・長押を結合するときに使うシンプソン金具。

これを、存在感を消すために白く塗ります。いつもの水性つや消し塗料で。

材質が分からなかったので、ものは試しと下地なしでそのまま塗ってみました。すると…

これでシンプソン金具が非鉄金属だということが分かりました。ステンレスですかね。とにかくこのままだと塗装できないので、プライマ(下地)を塗る工程を追加して乗り切ります。
そうすると、ほら。

弾かれることなく塗料が乗ってくれます。許容範囲の色見・ムラになるまで重ね塗りしたら完成です。

私は2度塗りでフィニッシュ
部品の加工-木材加工-
経験不足がために自信がなかった金属加工が終わったので、あとは慣れっこになっている木材加工に入ります。
とか言いながら、ここでも今回初チャレンジの技術「大きな非貫通穴あけ」があり、苦労しました。
木材の切り出し
初めは木材の切り出しから。梁A・梁B・長押を設計通りの長さにカットします。
構造 部材 | 役割 | 材質 | 断面 | 長さ |
---|---|---|---|---|
バー | 握った人を 支持する | 鉄 (SUS巻き) | ①Φ32mm ②Φ25mm ※両方とも1mm厚 | 500mm (片側20mm挿入) |
梁A | バーを 支持する | 木 (SPF材) | 38×140mm (2×6材) | 8フィート (2438mm) |
梁B | 梁Aを 支持する | 木 (SPF材) | 38×140mm (2×6材) | 835mm |
長押 | 梁Aの荷重を LGSに流す | 木 (SPF材) | 19×140mm (1×6材) | ①170mm ②915mm ③640mm ④720mm |
とは言え、梁Aは8フィート材をそのままなのでカット不要。梁Bはホームセンターで購入時にカットもお願いしたのですでに835mm×2本の状態です。

2×材は厚さ38mmあるので、手持ちの電動工具(B&Dマルチツール+の丸ノコ)じゃ切れないのです…
ということで、長押を1×6材からカットします。

カットしたら端部や角を丸めます。B&Dマルチツール+のサンダーで楽ちん。

B&Dマルチツール+、グッジョブです。
ヤスリはダイソーのハンドサンダーでも十分(というか軽い分こっちの方が良いかも)です。
梁Aへの穴あけ
いよいよ木材加工最難関に来ました。梁Aにバーを差し込むための穴を空けます。
バーの設計長さが500mmなのに対して、切り出し長さが540mm。すなわち両端を20mmずつ挿入する想定です。
梁Aの厚さは38mmありますが、その厚み方向に深さ20mmの非貫通穴を施工します。とは言っても、ぴったり20mmの深さが必要なわけではなく、強度的には深さ10mm以上、そして貫通はしたくないので30mm以下、といったところで、深さの精度に対しては許容範囲が広いです。

バーが脱落しないために挿入量は最低10mm欲しいところ
が、バラバラの深さの穴が出来上がると組み立てで難儀しますし、強度の保証ができなくなるので、全部大体同じ深さ(3mmくらいのばらつきは許容)を求めます。
私の場合、後述する通りドリルガイドがちょうど良い深さストッパーになってくれたので、安定的に15mm深さの穴をあけることができました。(後述)

使用するのはボアビットとインパクトドライバー。


この道具に気合いを乗せて穴をあけていきます。実はこのボアビットデビュー戦、初めは全然穴をあけられなかったんです。そして判明した理由は気合い不足。勇気不足。詳細は別記事にしてますのでご参照ください。
ドリルガイドの要否についても記事内で触れてますが、真っすぐあける用途としてはうんてい作りでは不要と結論付けました。

購入したドリルガイドと手持ちの電動工具の相性が悪くて、うまくハマらなかったのもあり、全然真っすぐ穴あけられなかったんですよね。ボアビットでの穴あけ加工は力がいるので、ドリルガイドとの相性自体も悪い気がします。
ブレブレでガイドされてる気が全然しないけど一応念のためということで、ドリルガイドを使いながら穴を合計24個あけていきます。

(これは練習時の様子)

慣れると小気味よく削れるボアビットが楽しくて、意外とスムーズに終えられました。ただガイドが全然機能していないので、真っすぐ穴があけられたかどうか不安で仕方ない。結局ガイドを信用せず、なるべく真上から真っすぐ狙ってあけることに集中したので気疲れはしました。

のちの組み立て工程で、見事に斜めってたことが判明します
結果的に真っすぐ掘れてなかったなんちゃってガイド付き穴あけ。それでも組み立てはうまくいきました(後述)ので、ガイドは不要という結論としています。
そしてもう一点、先述した深さの調整についても触れておきます。狙いは10~30mm程度で、全部の穴を同じくらいの深さであけることなので、何かを目安にして穴あけをストップしなければなりません。まずはボアビットの厚みを目安に掘り終わりを決めることを考えました。

Φ32mmも25mmも厚みが12mm程度なので、ボアビット上面が板上面とぴったし一致したところが深さ12mm、という感じで目安にできます。なのでここからさらに5mmくらい深く掘ったところでやめようかなぁといった適当具合で始めました。
私の工具組み合わせ(B&Dマルチツール+SK11ボアビット+SK11ドリルガイド)で深く掘ろうと思うと、ドリルガイドに付属のスプリングとストッパーを外す必要がありました。

そして外せば、ちょうどドン付き行き止まりのところがちょうど15~20mmくらいの深さになります。

そのため、深さの観点でドリルガイドがガイドとしてうまく機能してくれたので、全穴を安定的に同じくらいの深さで施工できました。

ありがとう、ドリルガイドさん

不要とか言ってごめんなさい(あくまでも真っすぐあける必要はないという意味でして…)
木材の塗装
加工が終わった(はずな)ので、次は色塗りです。木材部品たちがその存在感を遺憾なく発揮しないために、白く塗ってカモフラージュします。

木工塗装はもう手慣れたもの。基本動作通りにささーっと塗っていきます。


木目を完全に消したかったので、3度塗りしました。塗料はいつものこれです。


つや消し大好き
よーし、あとは組み立てだけだ!と思ったのも束の間…

なんかおかしい。なんかおかしい!


一個だけ穴ずれてるやーん

一個だけで良かったね
いや、一個でも大ショックです。なんでこんなことになった、そうか、穴あけ位置を印するときにミスってたんだな、とか色々走馬灯のように駆け巡りましたが、反省はそれくらいにして。
大事なのはで、どうする?です。
間違えてあけた穴、どうする?
そのまま使うという案はありません。バーが斜めになってしまいますし、そもそも組みあがらない可能性が高いです。
そこで対応案は2つ。
- 木材を買いなおして作り直す
- 補修する
1は確実な対応ですが、穴あけ・塗装まで終わってしまっているので、もう一度同じ作業をするのも億劫ですし、加工済みの木材ももったいない。
そこで補修して使うことを考えました。具体的には、
- 追加で正しいところに穴をあける
- 間違った穴を埋める
という作戦です。


このまま組み立てに進み、バー取り付け後に不要な隙間をパテで埋めます。詳細は後述。

パテってなにそれ、おいしいの?
組み立て
穴は垂直にあいてる気しないし、だるま型の変な穴はあいているしで、一抹の不安はありますが、組み立てに入ります。このフェーズで梯子まで完成させ、あとは廊下に取り付けるだけというところまで持っていきます。

梯子の組み立て(バー/梁Aの結合)

Φ25/32mmの太さのバーに対して、ぴったしΦ25/32mmの穴をあけて挑んだ組み立て。とんとん叩けば入っていくものと思いました。が、全然入んない。

穴の入り口にちょっと入る程度で、全然中に入っていかない。ちょっと考えると、原因は明らか。
いやはや、これはひどい。すなわち、挿入部を塗り逃げしてれば起きなかったかもしれない問題です。反省。

みなさんはぜひ塗り逃げを検討ください

塗装工程を組み立て後にまわすのもありかも
で、どうする?(2回目)
入らないことにはいつまでたってもうんていが完成しません。なので意地でも入れるんですが、方法は大きく3つ。
- バーを細くする
- 塗装を剥がす
- 穴を大きくする
バーは金属で硬く、細くするのは比較的難しいので1は却下。2は紙やすりで可能な限り落としますが、落としきることは難しい。摩擦が減る程度に削ります。
頼みのつなは3。柔らかい木材の穴を大きくして対処します。すなわち、ヤスリの出番。

全24個の穴を紙やすりで広げていきます。
ここでもし、削りすぎてガバガバになってしまうとどうなるか。うんていしたときにバーがするする回ってしまうことになります。それを防ぐため、ガバガバ時は接着剤を入れるようにしましょう。ボンドでも瞬間接着剤でも良いと思います。私の場合はガバガバになることはなかったので不要でした。
ちなみに私の場合、もうひとつ事故が起きてました。叩いてもなかなか入らないとき、とにかく力任せに入れようとしてしまったがために不幸が不幸を呼び、叩いたバーの端部が凹んでるという悪夢が。

このままだと穴をかなり大きくしないといけませんし、しかも入り口だけ大きいのでガバガバになってしまいます。なのでここは何とかして直さないと。私は鉄工ヤスリも持っていなかったので、ペンチでグニグニして矯正しました。
そんなこんなで、なんとかまずは片側に全部入るようになりました。その様子がこちら。

嗚呼、やっぱりかというのが正直な感想。やはり穴が真っすぐあけられていなくて、バーが垂直に立ってくれていません。
で、どうする?(3回目)
また急場が訪れました。もうここまで来たら後戻りすることなくうんていを早く完成させたい。その一心で対策を検討します。対策は力でねじ伏せる。
木の柔軟さはこれまでに色々と体験してよく知っています。なので、グイグイって強引にバーを矯正したら穴が変形してくれるんじゃないか、と考えました。やってみます。
バーの端材を入れてみると、

見事に曲がってます。これを力でもって強引に垂直に変えます。

この作業を全穴に対してやると…

見違えるように良くなりました。バーの挿入量も十分。
あとは反対側が入ってくれればなんですが、これがまたかなり大変。もうひとつの梁Aを上に載せてみると、バーが完全に垂直ではないので、上側の穴と若干ずれます。これを補正しながら狙いを定めて叩く、という作業。これは一人ではできません。

もう苦労しすぎて、写真もほとんど撮ってません。。。
そしてこの作業、うるさい。バー挿入のために叩くたびガーンガーンと響き渡ります。近所迷惑になってしまってはダメなので、外で工事をやっているタイミングを見計らって作業しました。
そんなこんなで、無事梯子完成。


(あとでパテで埋めます)

あっ、そうでした、まだ完成じゃなかったです。
【臨時】パテ埋め工程
このままでも、反対側の穴にしっかりハマってくれてるバーはくるくる回ってくれることはないんですが、あまりにも惨めな姿をしてるので穴を埋めます。

強度的にも不安ですしね
木工用パテというのを使った穴埋め作業は初の試みでしたが、なんのことはないとっても簡単でした。詳細は別記事にしていますので要すれば参考にしてください。
このウッドエポキシを使えば、

穴を埋められて、

その上、塗装もできる。なので結局ほとんど目立たないように補修ができました。

強度も十分。いやぁ、頼もしいです、ウッドエポキシ。
ついでにグイグイの副産物である隙間たちも埋めておきました。


(このあと塗装して完成)
ウッドエポキシがあれば、穴あけミスもグイグイも怖くありません(キッパリ)。ぜひ果敢にチャレンジしてください。
なんやかんやで、梯子の組み立て完成です。

梯子の重さと大きさに注意
想像以上にがっしり作れた満足感・所有感と共に、なかなか重いなとも感じたのが正直なところ。重さを計ってみると17.3kg。

4歳の息子と同じくらい
数字で見るとそれほどでもない重さです。設計では240kgfを使っているので、17kgfは十分埋もれていて問題ありません。良かった。
それでも持つには重たいですし、長いですから、取り回しにはご注意下さい。特に私のようにベランダで作業して廊下まで持ち込む場合、その移動経路に問題ないか、梯子がちゃんと通ってくれるかはシミュレーションが必要です。組み立てたあと設置場所まで持っていけないなんて悲惨なことにならないように…
取り付け
これで部品は全て揃いました。いよいよ最終工程の取り付け作業に入ります。順序としては以下の通り。
- 長押を壁(内の柱)に取り付ける
- 梁Bに金具を取り付ける
- 梁Bを片側だけ取り付ける
- 梯子+梁Bを取り付ける
と、あんましイメージわかないかもしれませんが、要は取り付けにも若干工夫が要ります。順に見ていきましょう。
長押の取り付け

まずは長押を壁に取り付けていきます。この長押は、うんてい+うんていプレイヤーの全荷重を壁内の間柱(LGS、下地)に流す超重要な役割を担っていますので、手を抜けない作業です。

LGSってなに?おいしいの?って方や、LGSの位置の探し方が不明な方はこちらの記事をご参照下さい。
下地(LGS)位置の見える化
我が相棒のどこ太を使って予め見つけておいたLGS位置を狙い、長押を取り付けていきます。私はLGS位置の目印にマスキングテープをよく使います。


簡単に貼って剥がしてができて便利
壁紙を剥がしておくと良いことあるかも
壁にビス打ちする場合、壁紙が大ダメージを受けるので、外したときに無残な姿になることが目に見えています。そこで、ビス打ちする部分の壁紙を大きめに剥がしておいて、外した際にはまた貼り直した方が綺麗に原状復帰できる、という方法があります。


カッターで四角に切って、カッターの先でペロンと剥がせば簡単に剥がせます。剥がした壁紙パーツたちはジップロックに入れて保管。
とご紹介はしましたが、私自身まだ遊具類を外したことがないので、この方法で原状復帰した経験はありません。実際、長押裏に居続けた壁紙とジップロック保管していた壁紙で経年劣化の差があったりすると、あとで貼り付けても色の差が出てしまうかもしれません。なので私としては「うまくいけばラッキー」くらいの位置づけでやっています。
軽天ビス用の下穴施工
取り付けにはフレキ3.5×51の軽天ビスを用いますので、長押側には予めΦ2.5mmの下穴を施工済み。

軽天ビスを長押に挿入しておく
今回は軽天ビス施工箇所が26か所ととても多いので、無理な体勢での作業を極力減らすため、予め長押側に軽天ビスを挿入しておいて省力化します。

軽天ビスをLGSへ打ち込む
ここまで準備できたら、あとは長押たちを壁にセットして、ビスを壁内のLGSに打ち込んで固定していきます。
軽天ビスをLGSに喰わせるためにはちょっとしたコツがいるので、詳細はこちらの記事内のLGSを攻める方法をご覧ください。
ビス挿入開始後、はじめは石膏ボードフェーズが12.5mm続くので手応えほぼありませんが、そのあと突然LGSにぶち当たり、長押が壁から浮いてくると思います。そうなったらいったんビス挿入をストップし、ハンマーでゴチゴチ叩きましょう。軽天ビス先端をLGSにぶっ刺すイメージです。
そのあと、ビスを全身全霊でLGSに押し付けながら、トルクを掛けてビスを挿入していきます。

私は登りロープ設置の経験もあり、この作業にすっかり慣れっこなので今回は電動ドリルを使いましたが、最初は普通のドライバーで手応えをしっかり感じながらが良いと思います。


長押は浮いてしまうことがある
LGSへの軽天ビス打込みの影響で、長押が浮いてしまうことがありますが、私は下の写真くらいの浮きであれば許容しています。

一応、浮いてしまったときは一度軽天ビスをLGSから抜いて、もう一度力を込めて挿入すれば浮きはずいぶん収まります。しかしLGSの厚さは0.8mmしかなく、繰り返しビス打ちするとガバガバの穴になってしまい食いつきが悪くなる恐れを感じましたので、私は打ち直しは1度のみとし、それでも残った浮きは許容しました。
この浮き分を考慮して梁B長さを決める必要があるので、設計時にご注意下さい。
梁Bに梯子結合用シンプソン金具を取り付ける
梁Bには予め梯子との結合用のシンプソン金具LUS26を取り付けておきます。ビスは木ねじ皿3.5×20を使用。

2×6材の端材を使ってシンプソン金具LUS26を固定していきます。LUS26は開いた状態で売られているので、2×6材を当てないと形を決められません。端材がない場合は、まだ地上にある梯子にあてがって位置決めしましょう。
またこのとき、LUS26の間隔は梯子の幅の実測値を用いて決定しましょう。バー挿入工程のところで挿入量がばらついている可能性があるので、設計からのずれが予想されます。
その後、LUS26の間隔が合っているかの確認のために、梯子とのフィットチェックをしておくとベターです。

私は自信があったのでフィットチェックは飛ばしました(忘れてただけ)
梁Bは2本あるので両方に施工しておきます。
梁Bを片側だけ取り付ける

金具が取りついた梁Bのひとつを、長押に取り付けていきます。ここでもシンプソン金具LUS26を使うので、ビスは木ねじ皿3.5×20です。
梁Bは軽いので一人でも作業出来ますが、と相方に梁Bを支えてもらうとより作業しやすいです。

結構こき使うよね
この時、梁Bが斜めにならないよう(廊下に対して垂直になるよう)、注意深く位置決めします。上の写真はそのときの様子です。二人作業がやっぱり良いですね。
梯子と残りの梁Bの取り付け
さていよいよ最後の山場、梯子の取り付けです。記事も長くなってきたので一気にいきます。
梯子を設置済み梁Bに立てかける


梯子を持ち上げる

梯子をえいやっと設置高さまで持ち上げてキープします。これ、想像に優しいと思いますが、超ハードワークです。重さ17.3kgですからね。
はじめは妻氏に頼みましたが、1分と持たずに断念。急遽友人にヘルプを要請し、快く駆けつけてくれた彼に重労働サイドをお願い。

取り付け作業側の方に技術が必要で…
梁Bを梯子・長押に取り付け
あとは一気に梁Bを取り付けていきます。スピーディにやらないと重さ17.3kgを無理な体勢で支え続ける友人Aが壊れてしまいます。LUS26×4つの固定になるので、ビス数にして全部で16か所ありますが、梯子の自重を支える程度であれば各金具2か所の固定で十分なので、計8か所のビス打ちを鬼集中の超速で行っていきます。
※鬼集中につきもちろん写真はありません。ご了承下さい。
8か所のビス打ちが終わったら、友人Aに冷たいお茶とアイスを提供し、くつろいでもらっている間に残りのビスを打ちます。

Special thanks to Nobu-kun.

ビス打ち時の注意点
このビス打ちで注意点があります。梯子がある状態だと作業スペースが狭く、ビス締結のための工具が入らない箇所があるんです。そこで、電動ドライバー+L型アダプタを使います。

さらに、コンパクトな充ドラ(充電式ドライバー)とセットで使うと、軽くてなお便利です。

アダプタにはフレキシブルタイプもありますが、L型の方が力を込められるのでオススメです。
コースレッド打込み
うんていはすっかり取りつきましたが、設計通りの強度をしっかり発現してもらうためにも、結合部をしっかり結合します。LUS26は以下のような結合方法になっていて、斜めにも締結部材を打ち込むことで確固たる固定を実現します。

私はこの斜め用にコースレッド3.3×50を用いました。

仕上げ塗装
全ビスが漏れなく打ち込まれていることを確認したら、最後に仕上げ塗装していきます。ビス頭を白く塗っていく作業ですね。私はここでもペンキュアを使ってます。
ビスがステンレスの場合、弾かれるかもしれませんので、その時はちょっと面倒ですがプライマをチュチュっと塗りましょう。
スプレーでシューだと要らないところにもついちゃうので、紙コップとかにシューっと出して、めん棒でチュチュっと塗るのが良いです。

完成・テスト
ついに完成です!長かった!あとは設計通り「大人が無邪気に遊んでもビクともしない頑丈さ」が実現できているかテストします。

うん、ビクともしない。大人がうんていしてもビクともしない。完璧だ…

うんていへのアクセス用にロープも追加調達して設置しましたが、こちらはまた後程記事化します。
廊下うんてい製作まとめ
設計開始から調達・施工完了まで約1か月。「うんてい作りたいな~」という妄想から考えると1年以上を費やして完成した廊下うんてい。
間仕切り壁内の下地(LGS)を有効活用することで宙に浮かせたオリジナル設計のうんていは、こだわった色味も相まって、存分に遊べる大きさを備えながら存在感はそこまで大きくないという見た目も兼ねそろえた、大満足の一品となりました。
大変さは本記事の長さで十二分に伝わったかと思いますが、この苦労・失敗が、同じくチャレンジされる方の参考に少しでもなっていれば幸いです。
また近いうちに「もしもう一回作るならこうやって作る」という記事も書こうかなと。(需要がありそうであれば)


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