壁や天井の中身って、どうなっているのかよくわからなくて、いわゆるブラックボックスですよね。でも、DIY熱がフィーバーしてくるとそんな壁や天井に穴をあけたくなってきます。
家を購入するとむしろ「あけなきゃもったいない」とすら思う
そうゆう私はフィーバーしたクチでして、すでに穴をいくつかあけてロープ垂らしたりモニターアーム付けたり(壊したり)してきました。
そんな経験の中で、家(特にマンション)の中の壁・天井がどんな仕組みになっているのかを勉強し、実調査しましたので、その結果をまとめます。
これを読めば、みなさんも勇気を出してブラックボックスにチャレンジでき、また無残な失敗穴痕を残さなくて済むようになると思いますので、ぜひ最後までご一読ください。
やみくもに穴あけて壁をボロボロにするのはやめて
先にオススメの段取りをご紹介しておくと、
- お風呂場等から天井裏を調査して下地種類を把握
- どこ太で下地の位置を詳細調査
という感じです。
壁には戸境壁と間仕切り壁がある
マンションの壁は目的別に分類して以下の2つがあります。
- 戸境壁(こさかいかべ)
- 間仕切り壁(まじきりかべ)
戸境壁は、隣の住戸と接する部分の壁であり、コンクリートの分厚い壁で建物の構造的に必要な壁です。日常で発生する生活音も通りにくいものです。
出典:http://www.7mansion.com/word/003.html
間仕切壁は一つの住戸内を区分けるための壁で、石膏ボードなどの素材でできています。 例えば、リビングと洋室を区切るために使用されます。建物の構造的には意味はありません。
マンション全体の構造設計の観点から言うと、戸境壁はマンションを形作るのに必須の「構造躯体」であり、これが適切な状態にないとマンションが最悪崩れますよ、というもの。
一方の間仕切り壁は、そのマンション構造を形作ることに対しては設計的には仕事をしていなくて、部屋を仕切ってるだけだから、なんならなくても大丈夫だよ、というものです。
DIY的に言うと、戸境壁は「手を出したらやばいやつ」で間仕切り壁は「なんらかぶっ壊せるやつ」ということです。
戸境壁さんコワい
それぞれの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
戸境壁にはクロス直貼りと二重構造がある
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、戸境壁には2種類あります。
- クロス直貼り
- 二重構造
DIYの観点では「二重構造」の方だと石膏ボードや間柱(軽量鉄骨)なんかがいるので、まだ攻める余地が残ってる感があります。
一方で「クロス直貼り」の方は、クロス挟んですぐガチンコのコンクリさんがいるので、厳しい戦いが予想されます。
クロス直貼りさんコワい
そしてわが家の戸境壁は、押しピンがまったく刺せないので「クロス直貼り」のようです。残念。
コンクリート部に手を出すときの注意
上述の通り、コンクリート部分はマンション構造設計上重要な部材であり、穴をぼこぼこあけたりしていじめると、マンション全体がガラガラどっしゃんみたいなことになる可能性がないとも言えません。もちろん、マンション構造は大きな地震・適切な安全余裕を考慮して設計されているのでちょっとやそっとじゃ影響はありませんが、全くないとは言えないはずです。
そこでマンションでは普通、管理規約の中で制約が定められています。構造躯体を無断で触るな、と。リフォームとかでもし触る場合は管理組合に一報いただき検討するプロセスが必要、と。わが家のマンションでもしっかり書かれていました。
コンクリさんに手を出す予定の方は、あらかじめご確認ください。
いつの日か、超大型モニターを壁かけして海の中の映像を流すのが夢。そのときにはコンクリさんに手を出さざるをえないかな。
55型テレビの壁掛けをDIYで実現しました!コンクリさんには手を出さず、ラブリコアイアンで柱を新規に立てて壁を作りました。昇降機能付きです。
間仕切り壁の種類
一般的な間仕切り壁の構造は上から見るとこんな感じになっています。
この絵で”垂木”となっている部分は、木の場合と軽量鉄骨(LGS)の場合があり、一般的には「下地」とか「間柱」とか言います。詳しくは後述します。
下地だけの状態での立体的なイメージはこんな感じです。
この状態に石膏ボードを打ち込んでいってクロスで仕上げると間仕切り壁ができあがる、というわけですね。
下地の種類には木材と軽量鉄骨(LGS:Light Gauge Steel)があります。DIY的には、木材は楽勝そうだけど鉄骨って聞くとちょっと強そうですよね。
LGSてなにそれおいしいの?
でも知れば大丈夫です。詳しくみていきましょう。
わが家はLGSだったので、仕方なく勉強して、壁からLGSにビスを通すところまで実証済みです
軽量鉄骨(LGS)とは
“軽量鉄骨”という言葉は聞いたこともある方がいらっしゃるかと思いますが、”LGS”というのは私は初耳でした。Light Gauge Steelの略とのこと。
LGSとはLight Gauge Steel(ライト・スティール・ゲージ=軽量鉄骨造の意)の事で、マンションリフォーム現場で良く使われる壁や天井の下地材です。
http://www.what-myhome.net/45eigo/lgs.htm
このLGS、規格があるようです。
ですが、他にも種類はめちゃくちゃたくさんあるみたいです。現に私の家の場合は、角スタッドというロの字断面のものが使われているようです。
いずれにしてもDIY的に重要なポイントは共通していて、
- 素材は「鉄」
- 厚さは「0.8mm」
ということですので、まずはここだけ押さえておきましょう。
LGSクリアー
壁の種類の調べ方(押しピン・磁石・天井裏・チェッカー等)
ここまでで壁の仕組みが大体理解できているので、調べ方も理解しやすいと思います。まずは身近なもので調査していきましょう。
天井も同じ要領で調査できます
押しピンを刺す
ここで全く刺さらなければそこにはコンクリさんがいます。戸境壁+クロス直貼りの(DIY的に)最悪コンビ。
いったん落ち着こ
もし刺さった場合は、グズっとした手応えだったと思います。石膏ボードです。抜いたピンに怪しい白い粉が付いていませんか?石膏です。
ウェルカム石膏ボード!
と言っても、ここまでで判明することは「DIY難易度」程度かと思います。
ただ押しピンの長さによってはその中の下地の種類まで調べられます。というのも、石膏ボード部の厚さが大体9.5~12.5mmなので、それ以上の長さのピンをさせば下地に到達するからです。
ただなかなかそんな長いピンないですよね。
太いピンを刺すと穴痕が残っちゃうのでやめてほしい
下地の詳細を調べたいときは、私の敬愛するどこ太の登場です。これなら下地の種類まで調べられます。詳細はあとでご紹介します。
強めの磁石で調べる
下地が軽量鉄骨(LGS)の場合、LGSは鉄なので磁石にくっつきます。ですので、磁石で調査が可能です。
私もうちにあった強力マグネットの類で試してみましたが、失敗しました。その理由は、
- 1cm前後の厚さがある石膏ボード越しなので、磁力がかなり必要
- そもそもLGSか木かもわかってないので「磁石が付かない=木」と判断するには不安
といった感じです。
DAISOなんかで売っている小型の超強力マグネットだったら使えるかもしれません(私はうまくいきませんでしたが・・・)。ただうまく行ったとしても、実際にDIYで穴あけて何か固定する場合には、石膏ボード厚さも重要になりますし、下地の詳細な位置(mmオーダー)も必要になってきます。
このように先のことを考えると、100円とは言えここに投資するのは無駄な気がします。ぜひどこ太を手に入れてください。
どこ太、超推すね
壁コンセントを外して覗く
壁コンセントは壁に穴をあけて付けられているので、外せば壁の中を垣間見ることができます。
ドキドキワクワク
外し方はこちらのサイト(外部リンク)に丁寧に書かれていましたのでご参照ください。
強引にギャッとやると外れます
ただ私の場合、2か所外して覗きましたがわかったことは「石膏ボードの厚さ」くらいで、下地は見えませんでした。それなりに手間がかかるのに知れる情報は少ないので、あまりお勧めしません。
天井裏を覗く
えっ、マンションでそんなことできるの?って思いますよね。実際、各部屋の天井をくまなく見てみても点検口のようなところはわが家では見つかりません。
もし点検口があるお住まいの方はそこから見ればOKかと思います
うーんどうしたものかと悩み続けて家の中で上ばかり見ていたら、見つけました。
「お風呂場」で。
そこに天井裏世界への入り口があるではありませんか!
気分はドラクエの勇者
行こう、お兄ちゃん!
手で外せるねじ2つで止まっているだけなので、すぐに外せます。そこから見えた世界たるや、DIYフリークな私にはめちゃくちゃ興奮ものでした(余談)
壁の作られ方はまさに一目瞭然でした。見ての通り、わが家の場合は下地の種類はLGSです。
これから穴をあける予定のLGSの幅も記録しておきます。
ということで、壁の種類の調べ方、特に下地が何か、どんな感じで入っているかのイメージを持つためにも、風呂場の天井裏を覗くのは非常にオススメです。
尚ここでは余談ですが、この風呂場の天井裏スペースが非常に広く魅力的だったので、わが家ではここにwi-fiルータ・NAS・レコーダーを置いてサーバールームにしています。
秘密基地作りたい
壁の詳細の調べ方:市販の下地チェッカーを使う
ここまでで、わが家の壁の中の様子が大体わかりましたが、いざ穴をあけようとしても下地の位置の詳細がわからないと手が出せません。
そこで市販の下地チェッカーなるものの出番になります。たくさんの商品が出ていて、比較しているサイトもあるので詳細はそちらに譲りますが、ざっくり分けると以下の3種類になります。
- 細針をぶっ刺すタイプ
- 下地の場所・深さ(石膏ボード厚さ)がわかる
- 磁石を使うタイプ
- 鉄製のLGSだけが反応して位置が手っ取り早くわかる(木は無視される)
- 下地センサータイプ
- 基本的に木の下地だけが反応して位置が手っ取り早くわかる(高いやつだとLGSも検知できる)
わが家はLGSであることがわかっているので、③下地センサータイプは却下しました。こんなやつです。
木にしか反応しないことに気付かず、危うく買ってしまうところでした
オススメの下地チェッカー
わが家のように下地がLGSであることがわかっているときには、「どこ太」がオススメです。
これしか使ったことないだけでしょ!
まあそうなんですが、十二分に役割を果たしてくれているので断然オススメできます。
これだけで、
- 磁石がカチッと動くところ=LGSがあるところ=LGSのだいたいの位置が把握できる
- 針を刺して何かが当たるところ=LGSがあるところ=LGSの詳細位置が把握できる&石膏ボード厚さが把握できる
ので、下調べにうってつけです。
ただ、細い針を使っているとは言うもののそれなりの穴があくので、針をぶっ刺しすぎないようにお気をつけください。
楽しいからって調子に乗らないでほしい
ちなみに、これを使ってLGSの位置調査をしていると、磁石が比較的強く反応するところがあります。その強さ足るや、どこ太の自重を支えられるくらいです。
ここはLGSと石膏ボードを止めているビス位置になりますので、DIY時にここに何かを固定するためのボルトを入れても勝てません。おとなしく避けるようにしましょう。
みなさんもどこ太を片手に、家の中をぶっ刺しまくってください。
楽しいからって調子に乗らないでほしい
天井の仕組みは二重天井と直貼り天井の2種類
次は天井です。私の場合、子供のために登りロープを室内に垂らそうとした時に、まずは天井に直接吊り点を設置することを考えたのですが、果たしてそんな強度があるのかどうかよくわからなかったので調査しました。
結論としては、
強度的に「重いもの」「動くもの」はダメ
となって、子供がグワングワンして遊ぶロープの設置は恐ろしすぎてやめました。
天井落ちてきたら悲惨
ということでわが家では現時点では必要に駆られていないため手を出していませんが、調査結果をご紹介します。
天井の仕組みの種類
マンションの天井の仕組みには大きく分けて2種類あるようです。
部屋の中から見た天井と、マンションの構造躯体であるスラブとの間に空洞があるかないかで、「ある:二重天井」「ない:直張り天井」という違いです。
直張り天井とは
部屋から目に見えている天井のクロス材のすぐ裏にスラブ(コンクリート)がいる場合、直張り天井ということになります。
見分け方は簡単、押しピンを刺してみて刺さらなければそこはコンクリさんなので直張り天井です。
出た、コワいコンクリさん
二重天井とは
押しピンを刺してみて少しでも刺さったら、それは二重天井です。中には配管や配線などが行き交う秘密の花園空間があります。わが家もこれでした。
二重天井の場合は天井部分が”吊ってある”ので、もし何かを天井から吊りたい場合は、この吊り方の詳細を知る必要があります。
天井下地のみの様子を実物で全体的・立体的に見るとこんな感じです。
一般的には上図の通り、
- コンクリートから直付けした吊りボルトが出ていて、
- そこに天井下地(LGSや木材)を吊り、
- そこに天井となるボード(ブラスターボード)を固定して、
- 最後に天井クロスで仕上げている
ということみたいです。
おおよそDIYレベルでは「間仕切り壁と同じ感じ」と思っていて良さそうです。
相手にするのは下地かボードであるという観点で
天井下地の種類・位置の調べ方
ここまでで天井の仕組みが大体理解できているので、調べ方も理解しやすいと思います。調べ方は上述した壁と同じ方法でOK。
いえす、どこ太です。
天井裏を覗けるところがあれば一番手っ取り早いです。わが家の場合は風呂場に覗き口がありましたが、家によっては部屋に点検用の覗き口があるところがあるかもしれません。
ここから、わが家の場合は二重天井の下地がLGSであることがわかりました。
ただ、肝心のリビングの天井がどうなっているかは正直分からず、下地がLGSであることは間違いないと思いますがその吊り方の詳細は不明です。
天井を攻めることになった際には、もっと調査します!
天井の強度的な考察
天井から何かを吊るしたいとなったら、天井の強度がどれくらいのものか知る必要があります。吊るものの例としては、
- 物干し竿
- 照明
- ハンモック
- ブランコ
- ロープ
あたりでしょうか。
なんか楽しそうなものがいっぱい!
軽いもの/重いもの、静的なもの/動くものものと分けることができると思います。
動くものは安全のために少なくとも3G換算くらいで計算する必要があるので、この場合自重の3倍の重さを考慮することになります。なおさら、天井の吊り強度が心配になってきます。
さてではその吊り強度はどれほどでしょうか。ここでは残念ながら
よくわからないけど重いもの・動くものは全然ダメそう
程度の結論です。
わからない理由は、吊り方法の詳細が不明なためです。天井の中を開けてみて覗けばわかることもあるとは思いますが、ここはマンションの設計者に吊り天井の設計荷重等の設計詳細を聞くしかありません。それでも「ダメそう」としたのは、少なくとも吊ってあるだけの天井なので、ここに例えばロープの吊り点を設けてグワングワンと揺らしたら、吊り天井も動くことうけあいです-_-; そうするとボード部分がバキッとか言って壊れそうだからです。
そんな評価で、わが家では一度ロープを吊ろうとしましたが天井直付は諦めて、間仕切り壁内のLGSで荷重を持ってもらう方式にしました。
軽いものならいけると思います。目安として「数kg」「動かないもの」が条件でしょうか。
理屈としては、「石膏ボードだけで持てる」ようなものであれば問題ない、という考え方です。特に下地まで届くボルトで止めれば石膏ボードの耐荷重以上に持つことは間違いないと思いますので。先に挙げた例であれば「軽めの照明」であれば余裕でいけるかと。
まとめ
鉄筋コンクリート造のマンションの壁と天井の仕組みについて調査した結果と、わが家を題材に実際の作りがどうなっているのかを確認した結果をまとめました。
それと、どこ太のゴリ推しね
DIYなみなさんに少しでも役に立っていれば幸いです。
わが家ではこの調査をもとに、いろいろ手をつけていますので、よろしければ参考にしてください。
コメント
コメント一覧 (2件)
すみません。質問なんですが、どこ太で下地を探して
①強力に反応する場所と、
②簡単に奥まで刺さる場所と、
③磁石反応はなく、途中までしか針が入っていかない場所があったので
③が下地がある場所だ!間違いない!と思って取り付けネジを
電動ドライバーで取り付けしたのですが、奥までネジが入らないんです。
石膏ボードを貫通して以降、奥まで入らないんです。
でも、その場所には磁石の反応はないんです。
何が考えられますでしょうか。
詳しく書かれてあったサイトだったので、参考になりました。
もし、なにかヒントがあれば教えて頂けると助かります。
返信が遅くなり申し訳ありません!
ひとつ思い浮かんだのは、「どこ太の反応の強弱を読み取れているか?」です。
下地がLGS(磁石に反応する鉄)の場合、どこ太は「A)強力に反応する場所(どこ太が自立するくらい)」と「B)弱く反応する場所」の2種類あります。
Aは、LGSを固定しているねじ頭と思われ、とても発見しやすいですが、Bは始め気付かずスルーする可能性があるくらいの反応です。
どこ太先端の磁石が小さく「カチャッ」と動く感じですね。
やまやまさんの例で行くと、③がBの可能性があります。もう一度確認してみてください。
もしビンゴであれば、その先にいるのはLGSです。
あとは腹くくって挑むだけです。
一応、反応がある幅の真ん中あたりを狙うようにしてください。LGSの端っこは殻部なので通りません。
LGSであれば軽鉄ビスで通るんですが、めちゃくちゃ硬いので、電動ドライバーでは難しいと思います。(私もチャレンジして諦めました)
手動のドライバーを使って石膏ボードをクリアし、LGSに出会ったら、ハンマーでコチンコチンとどついてみてください。
軽天ビス先端をLGSに食い込ませるイメージです。
そのあと、力込めながらねじ込みます。
一度入ればこっちのもんです♪
少しでも参考になっていれば幸いです^-^