重いものを吊るための梁の設計と注意点

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DIYで家の中にブランコ吊ったり登りロープ吊ったりする際、梁が必要になります。

家を建てる時にもたくさん使われている梁ですが、構造力学的には曲げで支える部材になるので、その設計にはとても注意が必要。

と言われても、何をどう注意すればいいのかわからないという方も多いと思います。しかし、仕組みを理解ポイントを押されば大丈夫。安全設計ができます。

本記事では、DIYにおける梁の設計と注意点についてまとめます。

テラ
テラ

いつになく勉強っぽいね

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梁の設計 -登りロープを例に-

具体的な例があった方がわかりやすいので、ここでは私が子供のために導入した登りロープを例に進めていきます。適用先に応じて適切に数値等をいじってご利用ください。

先にポイントを述べておきます。

  • “剛”な梁とする→断面二次モーメントの大きな形状とする→高さ方向に厚くする
  • 梁に曲げが入ることを想定し、応力の高い部分には穴等を施工しない

荷重条件の設定

子供が安全に登れる・揺れることができるロープである必要があります。なので安全側に、大人が登れる・揺れれるくらいのものを設計することにします。

テラ
テラ

それならむちゃくちゃしても良さそう!

大人の体重を最大で80kgとします。

これ以上の体重の方は要相談

登る・揺れることを想定すると、荷重(力)は動的に入るので、安全率を適切に考慮しなければ安心・安全な遊具はできません。

安全率を適切に取ることで余裕が生まるので、もし万が一設計のミス材料の不良などがあったとしても壊れるリスクを下げることができます。

ここでは吊り具類に一般的(JIS)に適用されている安全率「6」を使用します。すなわち、

80kg × 6 = 480kg

の人を吊っても壊れない設計にするということです。これなら、材料特性の見誤りなどがちょっとあっても大丈夫そうです。ましてや実際に使うのは子供で、体重は半分以下ですからなお一層安心できます。

ということで、重力方向の荷重条件は480kgf(約4.7kN)とします。

あとは他の方向への荷重条件も設定しないといけませんが、ロープの振れ角は高々30度と考え、またロープを斜めに意図的に引っ張ることはしない(少なくとも体重はかけないしかけられない)ので、特段の設定はしないこととします。

今回のように主に真下に荷重が入る梁はこれでOK。

もし横方向からも荷重が入るような使い方をする場合は、別途検討が必要です。

荷重条件が設定できましたので、次に「剛性」と「強度」の設計計算に移ります。

ここは強度と剛性の両観点で配慮が必要です。以下がポイントです。

  • “剛”な梁とする→断面二次モーメントの大きな形状とする→高さ方向に厚くする
  • 梁に曲げが入ることを想定し、応力の高い部分には穴等を施工しない

梁設計のポイントは「剛性設計」

登りロープ用の梁では、荷重条件である480kgf(4.7kN)が負荷されてもびくともしない梁になるよう設計したいと思います。

ルナ
ルナ

ロープに登るたびにしなったら怖い

びくともしないとは、構造力学的に言うと「剛性が高い」ということ。この剛性の高い梁に仕上げるポイントは断面二次モーメントです。これは硬い(ヤング率の大きい)素材を選ぶことでも達成できるのですが、梁の形状を高さ方向に厚くすることで効率良く低コストに達成できます。

DIYでは2×4材をよく使い、今回の登りロープ用の梁でももれなくこれを使います。

安いので

高さ方向に厚くするとは、すなわち2×4材を縦に使うということですね。 こんな感じです↓

登りロープ用の梁
2×4材での梁製作の実例

こうして剛性に配慮することで、曲げ方向に変形しにくい梁を設計することができます。剛性設計計算の詳細については、次の強度設計計算の中で併せて確認していきます。

壊れないための「強度設計」

さて、いくら硬い梁を設計できたとしても、壊れてしまっては梁として不適切です。

壊れないためには強度設計が必要。すなわち、構造体の持っている強度よりも荷重による発生応力が小さいような設計にするということです。

強度 > 発生応力

ここからは、剛性設計と合わせて具体的な解析で見ていきましょう。

強度・剛性評価は材料力学の知識があれば手計算で可能ですが、便利な計算サイトがあるのでこうゆうのを使って数字を入れて楽しく楽に設計します。

登りロープ用の梁の場合、設計条件・設計値は最終的に以下のようになりました。

  • 材質:SPF(実際の材質は不明ですがSPFは比較的弱いものなので安全側に仮定)
  • 密度:0.46(気乾比重)
  • 引張強度:14.2MPa(14.2N/mm2)( 試験結果より)
  • 縦弾性係数(ヤング率): 10500MPa(10500N/mm2
  • 拘束条件:両端固定
  • 断面形状:幅b=38mm、高さh=89mm(2×4材の規格値)
  • 長さ:l=837mm

この計算条件で計算すると以下のようになります。

外部サイト「製品設計知識」で計算

発生する最大応力が9.8MPaで、材料の強度14.2MPaよりも小さいのですなわち壊れないということになります。

また最大たわみが0.6mmと小さいのでうんともすんとも言わない程度の剛性を取れると考えてよさそうです。

こんな感じで、ロープ用の梁としてはこの設計でいけそうです。尚、ここで梁の設計に大きく効くパラメータは以下ですのでご留意ください。

梁の長さ

長くなると一気に発生応力・剛性に悪影響が出て、太い梁にしないといけなくなります。場所の選定時に、梁が極力短くなるよう効力ください。そうゆう観点でも、廊下やリビング入り口が良いと思います!

節のない材料を選ぶ

節やキズのある材料だと、そこを起点として破壊が起きますので強度がガクンと落ちます。2×4材等をホームセンターで選ぶ際には極力節やキズのないものを選定しましょう。特にこの梁は超重要な構成品ですので、お金をかけるべきポイントです。

私はこれにしました。普通の2×4材よりも値段は高いですが、材料として非常にきれいですので、強度値はかなり高いと思われ、安心です。(私と同じく)DIYなみなさんはきっとコスト意識高いと思いますが、ぜひここはケチらずコストをかけてください^-^

吊り箇所選びにも注意

剛性・強度的に十分な梁が用意できましたが、ロープをどうやって吊るしましょうか。ここはかなり悩みましたが、「低コスト」「安全」を重視して私がとった方法は「シャックルを使う」です。これは一般的な方法ではなく、ふつうは以下のようなシーベル金具などを梁の下側にボルト固定する方法をとります。

ロープと同じく(それ以上?)重量物を吊るすという観点で、サンドバックが参考になると思い調べたら出てきた方法です。ただこれを2×4材に固定するのには不安があります。ボルトが引き抜けないか、という観点です。

梁の下側は発生応力が最も高い箇所ですので、ここにボルト固定の穴を空けるというのは安全設計とは言えません

両端固定梁の応力分布。赤が発生応力の高いところ。

出典:製品設計知識

逆に梁の中でも応力の発生が小さいところはどこかと言うと、中立面上になります。

梁の高さ方向中心が中立面で、青くなっていることから発生応力が小さいことが見て取れます。
出典:製品設計知識

これはもう物理法則なので、ゆるぎないものです。ここに穴を空けるのであれば、強度低下は無視できるほどに小さく、また荷重が大きく入っているときでも変形がほとんどないので悪影響を避けられます。

私はここにφ10.1mmの貫通穴を空け、シャックルを通すことでロープの吊り点とすることを考えました。

シャックルがギリギリ通るφ10.1mmの貫通穴を梁の真ん中に施工
穴は計3か所としました。将来吊り輪を付けることも想定して…

この案であれば、シャックルが円弧形状になっているのでロープが揺動した時にもスムーズに動けることが期待できます。

実際にも期待通りの動きをしてくれています

梁を間柱を使って支えるときの注意点

支柱には壁内の間柱(LGSなど)を使用する場合、ロープ→シャックル→梁と流れて来た荷重をこの壁内の支柱へ流す際に工夫が必要です。

壁内の間柱はこんな感じで数本入っています。

この間柱を支柱として利活用する場合、2本以上に荷重を持ってもらう方が安全・安心です。強度的にも強くなりますし、剛性的にも有利です。グラグラするリスクが減らせます。

ですので上図のように、柱と梁の間に「1×4材」を挟んで、金具により梁を固定することにします。すなわち荷重の流れとしては、

荷重の流れ

ロープ→シャックル→梁→金具→1×4材→支柱(間柱)

となります。これにより、梁に負荷される荷重を数本のLGSである程度分担させることができます。

1×4材へ固定する部分には「梁受け金具」を使用するのがオススメ↓

まとめ

重いものを吊るための梁を設計する方法と注意点をまとめました。DIYでは2×4材を使うことが多いと思いますが、梁として使う場合は縦に使う必要があることが理解いただけたと思います。

また、もっと重いものや動くものを吊る場合には、2×6材にするなど、もっと剛性を上げて対応をしてみてください。

本記事が、あなたのDIY生活の一助となっていれば幸いです。

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コメント

コメント一覧 (5件)

  • 使われているシャックルは ホームセンターで購入されたのでしょうか?

    • ご質問ありがとうございます!
      ロープや吊り輪に使っているシャックルは楽天市場で購入したもので、ロープ製作記事(https://ill-do-it.com/rope-diy/)でご紹介しています。SPLW-10というものです。

  • 計算の安全率として”6″を使用しておられ、JISに定められている値である旨の説明がありますが、
    JISで定められている安全率”6″は「物を吊る場合」であり、「人を吊る場合」は”10″と定められています。
    また、吊り具は主に金属性を想定されていますが、材料を金属から木材に帰る場合はもっと大きく安全率をとることが一般的です。

    そういった観点で、安全率”6″は安全側の設計とは言えないと感じるのですが、いかがでしょうか?
    もし、想定荷重で裕度を確保しているのであれば、実際の安全率はもっと大きくとるべきということを記載したほうがいいと思います。
    真似される方が「うちは子供しか使わないし、想定荷重を40kgにしよう」とすると強度不足になる可能性があります。

    • ご教示頂きありがとうございます!
      安全率の説明が不十分だったため、場合によってはミスリードになってしまうと認識しました。
      安全率を暗に確保するやり方は私も不適切と思いますので、記事を修正し、真似される方の不幸を最小化できるようにしたいと思います。

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