恒例となりました素人塗装シリーズ(全2回)。
2回でシリーズて
今回は金属塗装です。かく言う私もつい最近、バスケットリングやうんていを作るまでは金属塗装を避けてきました。なんか難しそうでハードル高いと思っていたので。
が、やってみると全然そんなことはなくめちゃくちゃ簡単。下地(プライマ)の重要性さえ知れば木材と同じノリで塗れてしまいます。
そんな金属塗装について、本記事では素人が素人なりに行う方法をご紹介します。
スプレー塗装もやっちゃいます
私が塗ったことある組み合わせ
すべての金属塗装で使える方法かわからないので、私の実績を先に示しておきます。
- ステンレス × 水性塗料
- ステンレス × 油性塗料
- 鉄 × 水性塗料
私が使ったことのあるのは上記ですので、これらの組み合わせであれば本記事で紹介する方法はどなたでも再現性が高いと思いますが、後述する通りとにかくプライマさえ塗ってしまえばどんな塗料でも乗ると思って差し支えないと思います。
金属塗装の大まかな流れ
全体の工程は以下の通り。木材塗装と比べると、研磨工程がなくなりますが、脱脂・下地塗装工程が増えます。トータルでは少し金属塗装の方が早くてラクかなぁという印象。
所要時間は、木材塗装と同じくほとんどが乾燥時間。塗装時間は塗り面積に比例します。
- 金属表面の油分を取り除く
- スプレーでシュッとして
- 待つ(夏場:15〜20分、冬場:30〜40分)
- 刷毛で塗る or スプレーでシュッと塗る
- 待つ
- スプレーの場合は根気よく何層にも分けて塗る
- 所望の濃さになるまで繰り返したら完成
- 後処理は特になし
脱脂→プライマ塗装→乾燥後、本塗りを最低2周やったら完成です。
本塗り回数は、塗料や目指す色味に応じて様子を見ながら決めてください
基本的に、回数が増すほど塗膜が厚くなり、素材の色が透けなくなってくるよ
金属素材の脱脂
ではここから各工程の詳細をお示しします。
まずは最初の脱脂工程について。塗装対象の金属部品は、もれなく手でベタベタと触ってきたはずです。手の脂って思いの外すごいですからね。脂がついてるとうまく塗料が乗ってくれません。
脂ののったサーモンは大好き
ベタベタお肌を滑らかスベスベお肌に変えて爽やかな感じにしましょう。
簡単な脱脂の仕方
脂が付着していると塗料が浮いてしまうとはいえ、あまり神経質になる必要はありません。ささっと拭き拭きしてその後素手で触らないように気をつければOKです。
用意するものは、
- パーツクリーナー
- ウエス(ボロ布) or ペーパー
- ビニール手袋
パーツクリーナーを塗装部にシュッと吹きかけて、ウエス等で拭き拭き掃除すればOKです。
ウエスとして、私はいらなくなった下着シャツを切って使ったり、キッチンペーパーを使ったりしてます。要は、汚くなくて丈夫ならなんでもOK。
そしてこの工程、素手でやっちゃうとまた脂が付いちゃってイタチごっこする羽目になるので、手袋して作業しましょう。私は百均で100枚入りとかで売ってる使い捨てビニール手袋を使ってます。
パーツクリーナーは子育てで重宝します
ついでに参考まで。パーツクリーナーは特に子育て奮闘中の各家庭に1本必須と思うくらいの素敵ツール。私が普段の生活でよく使う場面は、
- 子供達が貼りまくったシール剥がし
- 色々切るからベタベタになって切れ味悪くなったハサミの復活
辺りです。パーツクリーナーを使えば色々なネチャネチャを除去できます。
とっても頼もしいわ
パーツクリーナーという相棒を手に入れれば、子供達の目に余るやんちゃぶりも、聖母マリアのごとく温かい目で見守れる機会が増えるかもしれません。
下地(プライマー)塗装・乾燥
脱脂が完了し、塗装面を綺麗さっぱりすべすべお肌に変えたら、次は下地、プライマー塗装です。これをやることで、塗料が確実に乗るようにします。
塗料が乗らないとはどういうことか?こんな感じです。
もういっちょ!
未熟者な私はこういう失敗をたくさんしています
このような感じで私はステンレス材料で塗装が浮く・弾くのを経験済みです。
で、これを防ぐために下地、すなわちプライマーを塗るんですが、プライマー塗ると具体的にどうなるかというと、ベタベタお肌に変えてやるのです。
せっかく爽やかさんになったのに!?
私が使っているメタルプライマーはこれ。
スプレータイプなのでシューっと表面に軽く吹きかけて乾燥させればOK。乾燥時間は夏で15〜20分、冬で30〜40分と短いのもイケてます。
”非鉄金属用”と書いてありますが、鉄でもいけます。鉄の場合はプライマーがなくても塗料が乗る場合があるのでこういう書き方となっているようですが、私はプライマーなしだと鉄でも塗料が乗らなかった経験があるので、金属塗装の際は何にでもこのメタルプライマーを使っています。
信頼と実績のプライマー
すでに塗装済みの金属に重ね塗りする場合は、プライマーなしでも塗れることがあります。
スプレー塗装時の注意点
ここでしれっとスプレー塗装が私の人生に初登場しました。簡単に注意点をご紹介しておきます。
カラーリングは薄く重ね塗りする
メタルプライマーの場合はベタベタさせたいだけなので、適当に1層塗れば十分ですが、カラーリングの場合は塗り方に注意が必要です。
一度で塗ろうとすると色ムラ・デコボコができます。
色ムラは重ね塗りでなくせますが、デコボコは尾を引くので見た目をきれいにさせたい場合は気を付けましょう。
焦っちゃだめ
均一にピシャッと綺麗に塗りたい場合は、1回で塗るのはうすーくまんべんなくを意識し、これを所望の濃さになるまで何度も繰り返すのが基本です。このため、スプレー噴射時は塗装対象から離して行ってください。
30〜50cmくらいです
塗りたくないところはマスキング
広くまんべんなく塗らないとうまくいかないスプレー塗装は、刷毛のように局所的に塗るみたいなテクニックが使えません。なので、塗られてはイヤな部分はマスキングして隠しましょう。
マスキングテープは百均でも売っていますが、私は良く養生テープを使います。マスキングテープと同じく簡単に剥がせるので。隠せればなんでも良いんですが、テープを剥がしたときに糊が残らないものにしましょう。
ガムテープとかやめてね
飛び散り防止策を講じる
刷毛で塗るのと違い、スプレーはどうしても周囲に飛び散ってしまいます。お庭がある素敵ハウスならまだしも、マンション住まいの私の場合ベランダでの塗装作業になるので、対策をしないと意図せずベランダをカラーリングすることに。
落とすのはなかなか大変
メタルプライマーの場合でも、クリア色なので色こそつかないものの、なんでもベタベタにしてしまいますので、かなり汚れます。
なので、スプレー塗料が周囲に漏れないように、ダンボールの中で作業するようにしましょう。
また塗る対象に対してダンボールは大きめ・深めがベスト。先の通り遠くからまんべんなくふりかける必要があるので、それでも漏れないようにするためです。
体に悪そうな空気になるのでマスクを
スプレー塗装時はもれなく異臭がします。塗料なのか溶剤なのか、はたまた噴射のためのガスの匂いなのかわかりませんが(多分全部が合わさった匂い)、とにかく体に悪そうなガスが出て、それが鼻に届きます。すなわち我が身に入ってきます。
やだよお父さん長生きしてよー(泣)
いい匂いに感じる方もいるそうですが、健康第一な私は念のためマスクをして臨みます。
本塗り・乾燥を何周かする
いよいよ本塗り、カラーリングです。ここまで準備できていたら、この工程は木材塗装と同じやり方でOK。
塗装の準備・用具
刷毛やローラーで塗る場合でも、きれいに塗るためには2度塗りは必須。
素材の色を完全に消したいときなんかは3度塗りします
スプレー塗装の場合は4〜5回やることもザラです。
満足する色になったところがやめどきです
そのため、乾燥時間を置いた後に再度塗り作業がラクにできるよう、作業場所・用具準備でも配慮します。
段取り大事
特に乾燥させる姿勢・場所は最初から算段しておいたほうが吉。塗り終えてから「どうしよっかなー」となってしまうと、塗料で汚れた手で右往左往する羽目になります。
塗装面に触れずに乾燥させる姿勢って、結構難しいです。ものによって異なるので、工夫が必要です。
2段階に分ければだいたい解決します。手間増えますけど
塗装作業場の養生
マンション住まいのわが家の場合、塗装作業場はベランダ(バルコニー)ですので、汚したくないものがたくさんあります。そういうものにはあらかじめ養生をして、塗料がついても良い体制を作っておきます。
この養生作業、はじめはビニール袋を使ってやっていましたが、風でバサバサして鬱陶しいんです。
なので今は専らダンボールを使っています。ある程度の硬さ・重さがあるので、風なんかで動きにくいんですよね。そして汚れたら捨てられる。
スプレー塗装する場合は、先述の通りダンボール箱の中で作業するので、それ以上に養生する必要はありません。
塗装用具
塗装用具も木材塗装と同じです。スプレー塗装の場合はスプレーとビニール手袋だけでOK。
用具 | 用途 |
---|---|
塗料 | 見た目をきれいにする等 |
ハケ or ローラー | 塗料を塗るため |
紙皿 | 塗料をここに出してハケに着けやすくする |
ビニール手袋 | 塗料が手に付着するのを防ぐ |
ジップロック | 乾燥工程中にハケが乾くのを防ぐ |
ハケ
百均のものだと抜け毛が気になるので、ホームセンターの数百円のものを使っています。
塗装に毛が混入したらいやなので
使い捨てではないので、ちょっとお金かけても良いかなと思ってます。
数百円でよく言うわね
初使用時には抜けちゃってる毛を取りましょう。ガムテープの上でシャッシャって何度かやったら取れます。
ローラー
広範囲な金属材料を塗るときは、ローラーが便利です。ローラーは抜け毛の心配がありませんから百均で十分。私はダイソーのものを使ってます。
そんな素敵ローラーですが、デメリットがあります。
- 細かいところが塗れない
- ローラー部は使い捨て(50円/回)
大面積を塗るときにのみ、オススメです。
紙皿
塗料を出す先は紙皿がおすすめです。百均で売ってるやつでOK。使い捨てましょう。
コップの方が残留塗料が少なくて済むかなと思い、大きめのプラスチックコップで試みたこともありましたが、大きいハケを使う場合は頭がつっかえて底に届かないという醜態を晒すことになるのでお気をつけて。
ローラーを使用する場合は大きめのお皿にしないと、カップと同じことが起こりますので要注意です。
ビニール手袋
塗装作業では必ず手に塗料が付きます。素手に付いても水性塗料であれば落とせますが、爪の中に入っちゃったりすると結構気合入れて洗わないと取れないので使い捨てビニール手袋を使うのがおすすめです。
これも百均で売ってます。
ジップロック
塗装には乾燥工程があるので、その間にハケやローラーが乾いてしまうと次の塗り工程のスタートダッシュが遅れます。これを防ぐため、ジップロックにハケ・ローラーを入れておくと、丸一日経ったあとでもジューシーな状態で残っていてくれます。
この方法で保管すると何ヶ月もジューシーなままでいてくれるので、逆に洗うタイミングを逸します
なおジップロックは旭化成の商標登録なので、正確にはフリーザーバッグ/ストックバッグという名称のようですが、もはやジップロックの呼び名が一般的ですよね。
サランラップ的な
まあ呼び名はなんでも良いんですが、今回の用途では本家ジップロックほど高級なものは必要ないので、百均で売っているフリーザーバッグ/ストックバッグでOKです。
塗装作業
準備が整いましたので塗装作業に入ります。木材と同様、欲張らず1回に薄く、何回かに分けて塗るのが綺麗に塗るための基本動作です。
特にスプレーは塗りムラが出やすいので、1層目なんかは「薄すぎるやろっ」ってくらいでちょうどいいです。
とは言え、木材と違って1層目で塗料が中に染み込んでいく感じはありませんので、木材ほどの重ね塗り回数は多くない印象です。刷毛塗り金属塗装であれば2回も塗れば下地色が消せると思います。
乾燥時間
塗り工程を終えたら次は待ちます。直射日光を避け、陰干し。塗料ごとに指定された乾燥時間はパッケージに必ず載ってますのでチェックしてみてください。
乾燥時間は気温・湿度・塗料により変わりますが、重ね塗り工程があるのでここではあまり神経質にならず2時間くらいでだいたい大丈夫です。
あらかじめ考えておいた乾燥姿勢・場所に置いて待ちましょう。
仕上げ
あとは仕上げ!と言っても、金属塗装の場合は特にありません。乾燥して、満足いく色、そして表面のツルツル具合になっていたら完成です。
デコボコがあった場合は、仕上げにもう一層塗りましょう。もう一回やってもデコボコするなら、おとなしく諦めましょう。
後始末
あと始末をしっかりやらないと持続可能なDIYとはなりません。家族と同居しているならなおのこと。
ベランダ狭いんだからね
片付け・掃除はもちろん、作業完了後にすぐにやります。
ハケの後始末
ハケは、水性塗料の場合は水で落とせますのでジャブジャブやります。ただ、完全には落ちません。そのため、ハケは塗料の色ごとに用意するのが良いです。抜け毛の少ないハケがホームセンターで数百円で手に入るので、ここは潔く投資して、この洗い工程で精神力を消耗しないようにしましょう。
精神めっちゃ大事にしてるね
残った塗料
キャップ・蓋をしっかり締めて保管すれば乾燥することなくまた使えます。家の中に持ち込む場合は、容器に付いた塗料もしっかり乾燥していることを確かめましょう。
わが家の金属塗装実績
ご紹介した素人なりの金属塗装方法により、わが家で製作したDIY遊具・家具をご紹介します。
バスケットリング
元々アメリカンなレッドに塗装されたリングだったんですが、部屋の中で浮いてしまうのでナチュラルカラーに塗装しました。
基本的に白にして存在感を消したかったのですが、消しすぎるとシュート入れにくいので、リング部分だけはちょっと視認性が良いようにアイボリーにしています。
リング部分に使った塗料はこちら↓
おうち型本棚の金属部分に使った絶妙な半艶のこの色が気に入ったので、ここで惜しげもなく大量消費しました。
ペンキュアはちょこっと塗る用なんですが
この後作ったうんていのときに知りましたが、同じ色の缶タイプもあるので、大面積塗るときはペンキュアよりこっちの方が断然いいですね。
その他の部分は、いつも木材塗装で使ってる水性塗料で白く塗っています。
ちなみにこのバスケリングの塗装では、もともと塗装されていたものの上に重ね塗りするケースだったため、プライマは使用していません。
うんてい
バー
ステンレス素材のバー(丸棒)部分に水性アクリル塗料を使用しています。色はアイボリー(ぞうげ色)。
バスケリングと同じ色を缶タイプで探して採用しました。刷毛で塗ってます。
結合金具
木製部材を結合する金具(ステンレス製)の存在感を消すため、木材部と同じ白の水性塗料で塗っています。
スプレーで塗ればもっときれいに塗れたかもしれませんが、木部と同じ色にこだわって刷毛で塗りました。
素人金属塗装まとめ
DIY遊具・家具作りを始めて1年経ったころにようやく真面目に着手した金属塗装ですが、やってみると木材塗装とそんなに要領は変わらず、プライマー処理さえしっかりしてやれば簡単でした。
そして経験を積む中で、木材塗装と同じく丁寧にやるところのさじ加減を掴めてきたように思います。本記事ではそんなうまくサボる方法をお伝えできていれば幸いです。
素人が素人なりに気軽に金属塗装できるようになれば、DIYの幅が広がり、生活はきっと豊かになるものと思います。ぜひチャレンジしてみてください。
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