動育を実践するわが家は、家の中でも運動できる機会を与えるために、狭いマンションではありますがリビングを中心にアスレチック化していっています。
そのアスレチック化計画の第一弾は、安全・防音対策で極厚4cmジョイントマットの導入でしたが、ボルダリング・うんていと作った頃には高さのある遊具も増え、子供たちの運動も激しくなってきたので、一層の安全対策強化を考えるようになりました。
そこで検討したのがウレタンマット市販品の導入。しかしこちら、既製品を購入しようとすると高価(うん万円)だしちょうど良いサイズがない。
うちは狭いんだからそこんとこよろしく
なら作っちゃおうといつも通り考え、どうせなら遊具にもなる方が良いよねということで設計して作ってみたら、思いのほか良いのができました。
本記事では、そんな自作クッションブロックの作り方についてご紹介します。
クッションブロック完成品と使い方・使われ方
製作したクッションブロックは、80cm×40cm×厚さ15cmのマット型×6つ。用途や経済性を考慮してこのようなサイズ感になっています。詳細は後述します。
クッションブロックの使い方・使われ方は、多岐に渡り過ぎてここでは書ききれなくなったので、別記事にしました。
もはや使われ方が色々ありすぎて呼び方に困る状況。本記事では統一してマットと呼ぶことにします。
ブロックちゃうんかい
構成とコスト
構成品 | 仕様 | 必要数 | 調達数量 | 小計(税込み) | 調達先 |
---|---|---|---|---|---|
クッション材 | ECSウレタン | 150×400×800mm ×6枚 | 同左 | 11,572円 (送料込み) | (株)ストライダー社 |
カバー | ビニールレザー (オールマイティL-2784) | 後述 | 幅125cm×長さ6m | 9,280円 | 楽天市場 |
構成はごくごくシンプル。中身はウレタンクッション材で、それを人工皮革のカバーに入れて完成です。これ以外にレザー用針・糸・ファスナーが要りますが、割愛。
費用は約2万円。
費用対効果ばつぐん!
どんなのにするか:要求仕様の設定
さていつものDIYと同じく、「Why?」すなわち作る目的と、「How?」すなわちそれを実現させるのに必要な仕様を考えます。
自問自答だね
それがDIY
狙い・目的
わが家の場合、マットを作る狙い・目的は以下のように整理されました。
要求仕様
上記を踏まえ、要求仕様、すなわち必要なスペックを検討していきます。
安全対策
ろうかうんていから落ちたときの防護用途を想定して、必要なマットのサイズを見積もります。
まず厚さ。厚ければ厚いほど衝撃緩和性能は上がりますが、一方で厚すぎると嵩張って収納性が悪くなるデメリットもありますので、必要最小限に抑えたいところ。
ホームセンターに行って、クッションというクッションを片っ端から確認していき、衝撃緩和のためにはどれくらいの厚さが必要そうかの検討をしました。
調査対象は主にマットレス。これがホームセンターに売ってる一番安いクッション材だったためです。
折りたたみ式マットレスだと5~6cmが主流でしたが、これだとすぐ底付きしてしまって薄すぎる。けど2~3枚重ねるとだいぶ良さそう。
ということで、感覚的ではありますが15cm以上の厚さを必要条件としました。
次に幅・長さ。これも廊下うんていに合うサイズとする必要があります。
わが家の廊下はおよそ幅90cmですので、クッションも幅90cm以下。長さはうんていの2.4mに合わせて2.4m以上を最低条件とします。
これで安全対策のためのマットサイズ条件が出そろいました。
- 厚さ:15cm以上
- 幅:90cm以下
- 長さ:240cm以上
防音対策
次の防音対策としての仕様選定です。これも想定はうんていから降りたときのドスン音になるので、上記の安全対策仕様で包含されると考え、これ以上の考慮は不要と考えました。
遊具としての想定
最後に遊具として必要な仕様の明確化です。子供は遊びの天才ですから、どうやって遊ぶかは正直見当が付きません。むしろなんでもおもちゃにするので、とにかく汎用性の高いものを用意してあげれば、子供の想像力・創造力に火を付けられると考えます。
あそび方は任せて!
ということで、多分割のブロック型にすることは決定。あとついでにひとつ、跳び箱としての利用を想定します。マットを重ねて跳び箱にトランスフォームできないかというアイデアです。多分割ブロックのサイズを工夫して跳び箱として使えるよう配慮したサイズ感とします。
- 一体型マットではなく分割型にする
- マットを重ねて跳び箱化することを想定してマットサイズ・数量を決める
維持・管理のしやすさ
最後に忘れてはいけないのは維持・管理のしやすさ。具体的には、
- 収納性の良さ・取り扱いのしやすさ →サイズへの要求
- 掃除のしやすさ・汚れにくさ →カバーへの要求
あたりを考慮をして設計に盛り込みます。
サイズは分割仕様にすることが決定されているので問題なし。
カバーについては、コストを考えてまずはカバーなしを検討しましたが、ウレタン材の場合その隙間に毛が入り込んだりして非常に醜くなるので、カバーは必須と判断。
カバーには汚れにくく掃除しやすい素材表面特性が欲しいですね。
- 一体型マットではなく分割型にする
- 汚れにくく掃除しやすい素材を使ったカバー
要求仕様まとめ
以上を総合すると以下の通りとなりました。
- 1マットのサイズ
- 厚さ:15cm以上
- 幅:90cm以下
- 長さ:40cm
- 数量:6つ
- 繋げると長さ240cm(=40cm×6)
- 重ねると高さ90cm以上
- カバー
- 汚れにくい・掃除しやすい
- チャックで着脱可能
クッション材の選定・設計・調達
要求仕様が固まったので、それを実現させる具体策を調査・検討していきます。まずは中身のクッション材から。リーズナブルなものを探したいところです。
クッション材探し
まずはホームセンターで物色。大きな資材は送料が高くなるので、ネット通販ではなくホームセンター買いを基本としています。
素直にウレタンマットが売っているコーナーにいくと、薄いのしか置いてない。
重ねりゃいいんですけど、厚さ150mmまでもってくためには大量に要る。数万円レベル。高すぎ。
ということで早々に却下し、ホムセンをうろつきクッションというクッションを探しまくる。
「もう私にはクッションしか見えない」状態
調べたのは以下。
- 掃除用のスポンジ
- クッションの心材(カットウレタン)
- 寝具(折りたたみ式マットレス等)
どれも高い。必要量を揃えようとすると数万円オーダーになってきます。しかも何枚も重ねて使う必要があり手間も増える。
もうこうなったらしょうがない、送料かかるけどネット通販に手を出そう。ということで調べると、良い業者が見つかりました。
ストライダー社のウレタン
見つけたストラーダー社は、ウレタン、スポンジなどのクッション材や緩衝材を加工している会社で、軟質ウレタンフォームの加工品を工場直販の割安価格で提供されています。
一見業者向けに見えるんですが個人向けにも販売されていて、必要なサイズ・品種をカスタマイズして発注が可能。個人宅のボルダリング用マットとしての受注実績も多数紹介されています。
ほう!これは完全にその道のプロ。質としては間違いないなと。あとは価格。お高いんでしょう?と調べてみると…
厚さ20cm、サイズは1m×2mもの大きさで約1万円!?いい!
あとは送料を考慮しないとですが、これがもっともリーズナブルそうなことは分かったので、材質や寸法の相談も含めて問い合わせを始めました。
クッション材の素材選定
ストライダー社では多くのウレタンフォームを取り扱っているため、逆に素人の私はどれを選んでいいのか悩みました。なのでここは無邪気に問い合わせ。
終始、誠実に対応してくれました
まずは用途を伝えます。
- ケガリスク低減のためのクッションマットとして使う
- 重ねて跳び箱として使う
の2点。そこでまず提案されたのがSC半硬質ウレタンというもの。これは軽量で硬質なものらしく、跳び箱用途を強く意識して選定頂いたようです。
がしかし、私としては1の方が優先順位が高いので、その旨伝えました。具体的には
希望するのは、頭から落ちても頸椎損傷のリスクを下げられるようなクッション性
このオーダーをしたところ、提案されたのはECSウレタン。こちらは主に寝具で使用する材料だそうで、一般的なボルダリング用マットとしても選定されるようです。
そして嬉しいことにECSウレタンは比較的安い。ということで素材はECSウレタンに決定です。
クッション材の寸法決定
サイズの要求は先に検討して整理した通り、以下です。
- 1マットのサイズ
- 厚さ:15cm以上
- 幅:90cm以下
- 長さ:40cm
- 数量:6つ
これに対し、ストラーダー社で調達できるウレタンの制約を考慮して寸法決定します。というのも、問い合わせてみると基本のウレタンの単位が1m×2mとのことで、これより少しでも超えてしまうとウレタンを2枚使うことになり、価格がグンと上がってしまうようなのです。
これを踏まえ、要求を満足する範囲で以下のように1枚のウレタンから効率よく切り出す案を考えました。
ストライダー社さんが親身になって相談に乗ってくれました
これなら、1マットサイズが幅800×長さ400mmとなり要求を満足します。
⑥については接着によりくっ付けて1枚の800×400mmマットに仕上げます。これはストライダー社さんに提案頂いたもので、目からうろこでしたが、接着は普段からやるものなので、加工費が少し必要になるが品質には全く問題ないとのことでした。こんな感じになります。
あと決めるのは厚さ。ストライダー社の場合、良さそうな厚さとして15cm・20cmが選べます。正直悩ましいなぁと思って両方見積もりをお願いしたんですが、その差は4千円。内訳は丸めて以下の感じです。(時価もあるでしょうから詳細は個別にお問い合わせいただいた方が良さそうです)
項目 | 15cm厚 | 20cm厚 |
---|---|---|
素材 | 約7,000円 | 約9,000円 |
裁ち・接着加工 | 約1,000円 | 約1,000円 |
送料 | 約3,000円 | 約4,500円 |
消費税 | 約1,000円 | 約1,500円 |
税込み合計 | 約12,000円 | 約16,000円 |
20cm厚は素材費が高いのは当然として、送料としても高くなるとのこと。サイズ制限で2個口になるためだとか。
狭いわが家の場合、厚すぎると嵩張って置き場所困る問題もあるので、必要最小限の厚さを確保できる15cm厚を選定することにしました。
ウレタンが届く
そんなこんなでストライダー社に発注したカット済みウレタンがわが家にやってきました。
早くカバーを作らないとゴミ(毛)だらけになってしまう!(この時点でカバーまだ出来上がってない)
マットカバーの設計・選定・調達
ということでカバーの準備を急ぎます。
カバーの設計
まずはカバーの設計から。カバーへの要求仕様は
- 汚れにくい・掃除しやすい
- チャックで着脱可能
でした。汚れにくい・掃除しやすいは素材選定の際に考慮するとして、ここではファスナーで着脱可能なカバーに設計していきます。
と言っても考えるのはどこを間口にするかくらい。私はここにしました。
カバーの一番小さい面をファスナーで開閉できるようにしました。これによりチャック部が最小限になるのですが、以下のメリットを狙っています。
- 硬い部分が少ない方が痛くない
- 比較的大変なファスナー縫合が少なく済む
- ファスナーの量も少なく済みお財布に優しい
ただ懸念もありました。
- 狭い間口に細長いウレタンを挿入できるのかしら
ウレタンは見るからに滑りにくそうな表面をしているので、ちゃんと入っていってくれるかが最大の懸念。が、結果的には難なく入ってくれました。
カバー材の切り出し寸法
チャック部の位置が決まったので詳細な切り出し寸法を決めていきます。マットは6面で構成される直方体ですので、各面を個別に切り出して縫い合わせる方法を採ります。
縫い代として、
- 布同士の合わせ部:+10mm
- ファスナー部:+20mm
を確保します。
これを踏まえてマット各面のカバー切り出し寸法を決めていきます。各面の定義は以下の通り。
面 | マットサイズ[mm] | 切り出しサイズ[mm] | 数量/1マット | 備考 |
---|---|---|---|---|
A-1 | 150×400 | 190×440 | 1枚 | ファスナー側 |
A-2 | 150×400 | 170×420 | 1枚 | |
B | 150×800 | 170×830 | 2枚 | |
C | 400×800 | 420×830 | 2枚 |
A面だけはファスナー部の有り無しで非対称となるため、2種類の寸法で切り出します。まあ大きい方で統一しても問題ないですけどね。(私はそうしました)
生地の選定
カバーの寸法が決まったので生地の選定に移ります。求めるのは汚れにくさ・掃除のしやすさ。
一般的なウレタンマットで使用される生地はターポリン・エステル帆布・マース生地などのようで、これらの売りは高耐久性・耐候性。ついでに防炎性もあるとか。
というのも、これらの生地は主に屋外での使用を想定しており、体育用ウレタンマットのみならずテントや建築現場シートとして用いられる屈強なもの。
そのため、めちゃくちゃお高い。手が届かない。だしそもそも室内おもちゃ用としては完全にオーバースペック。
ということで身の丈に合った生地を探す旅に出ました(ネット世界で)。いろいろと調査していく中で、ソファやイスに使われるレザーが良いんじゃないかと思い至りました。これなら丈夫で手入れしやすいはず。
ということで見つけたのがこちら。
椅子生地をメインの用途としているビニールレザー。品質の高さにはかなりの自信を持っているようで、さらにものすごい量のカラーバリエーションも決めてとなってこれに決めました。
生地の調達
しかもありがたいことにカットサンプル5点までを送料込み255円で送ってくれるサービスがあります!
色にこだわるわが家にとっては最高のサービス。欲しかったベージュ系だけでめちゃくちゃ種類あるので、5枚選抜して注文しました。
ついでにこのサンプルを使ってレザー縫いテストも実施。厚さの具合でうまくミシン縫いできるか心配だったので。ここでもサンプルがあって助かりました。
結果、わが家はL-2784(左上)を選定。これを6m分買いました。計算通りぴったしを使い切りでほぼ端材なし。
ケチりすぎじゃない?
あとはファスナー含めレザー用の針と糸で縫い合わせてカバー完成です。
…って…えっ!?カバーいきなり完成してる!どうやって縫うんじゃーいとお思いのみなさん。そうですよね、端折ってすみません。詳細を別記事にまとめていますのでこちらでご確認をお願いします。
カバーは自分で作っていなくて書けなかったので、読者の方に記事を書いてもらいました!
マット完成
できたカバーにギュギュギュっとウレタンマットを入れれば完成です。意外とすんなり入ります。
思惑通り、跳び箱にもなりました。
自作クッションブロックまとめ
安全・防音対策用マットを兼ねたクッションブロックの作り方について詳細にお示ししました。望み通りの出来栄えに私も子供たちも大満足!
レザー縫いがあるので作るのはやや大変ですが、その汎用性の高さからもっと早く作っておけば良かったと心の底から思う秀逸な一品です。ぜひチャレンジしてみてください。
また現在、このクッションマットを製品化できないかと画策中です。もしご興味のあるメーカーさんいらっしゃいましたらお声かけ頂けると嬉しいです!
コメント
コメント一覧 (7件)
はじめまして!
同じくうんていの下に敷くとして、
厚み10㎝だと物足りないと思いますか?
あやさんはじめまして!コメントありがとうございます!
私は10cmで作った経験はないのではっきりとは言えないのですが、15cmでも大人が足で踏むと底打ちするので、10cmだと体重によっては子供でも床を感じるほどかもしれません。頭から落ちた時に首をぐきっとしてしまうモードを気にする場合は15-20cm程度は必要に思いますが、足やお尻、膝などから落ちたあとに頭を打つモードを気にする程度であれば10cmでも十分なように思います。あくまで私見です!
あと、私は15cmと20cmを作った経験がありますが、厚くなればなるほど嵩張ります!当たり前ではあるんですが、実際20cmを6個積み上げると120cmになり、置き場所に困ります^-^; その点では10cmはとても良いですね。
少しでも参考になれば幸いです!
家でこれだけ遊べたら、楽しそうですね!
しかし、マットを手作りとなると、私ではかなり労力が必要そうです。
製品化の予定はありませんか?
みゆままさん、コメントありがとうございます!
(返信が大変遅くなりすみません。。。)
実は、しれっと製品化しております!個別にご連絡ください。
また、低コスト化開発や新商品開発も進行中です。
Twitterで進捗報告していきますので、よろしければフォロー頂ければと思います。よろしくお願いします。
https://twitter.com/lemonairplane
うちも真似して作ってみようと計画中です。
リビング半分に60×60マットを複数敷き詰める予定で小さいマットも作成しそちらは跳び箱代わりに使用予定です。
カバーの型紙是非よろしくお願い致します!
そして跳び箱代わりのマットのズレが気になり滑り止め対策もされてるとの事でしたのでこちらもご教授いただけると嬉しいです。
ぜひ!お家で作りたいです!!
もしカバーの型紙がありましたら、公開していただきたいです。
よろしくお願いいたします。
あいさん、コメントありがとうございます!
そうですよね、型紙情報あった方が良いですよね^-^;
近いうちにアップするようにしますが、取り急ぎ、ここでも情報お伝えしておきます。
・6面それぞれ切り出して縫い付けるスタイル
・各辺の縫い代は1cm、ファスナー辺だけ2cmの縫い代
として布を切り出しました!
参考になれば幸いです^-^