うんてい製作時に直径25mm/32mm、深さ20mmの非貫通穴を施工する必要があり、ボアビットを購入してチャレンジしたのですが、最初はうまくいきませんでした。
全然掘れない
そこで知り合いのセミプロに相談したら「気合が足らん」とのことだったので、気合を入れて再チャレンジしたところ、無事に施工完了。
気合い、大事だよね
いや、よくわかんないんですけど
本記事では「気合」という抽象的指示を、なるべく具体化してお示しすることにチャレンジし、同じように困っている人を少しでも減らせられればと思います。
さらに、真っすぐな穴をあけるために試したドリルガイドについても触れます。私の結論は「不要」です。
ボアビット(フォスナービット・座ぐりビット)とは
穴をあけるドリルの一種ですが、ボアビット(フォスナービット・座ぐりビット)を使うと底が平らな非貫通穴(座ぐり穴)が施工できます。
普通のドリル(下)とは形からして全然違いますよね。
貫通穴を空けるドリルビットはいかにもドリルです!任せてください!入っていきます!って形してますが、ボアビットの方は入っていくの?あけれんの?っていう不安を感じる形をしています。
君、ほんとにドリル…?
それもそのはず、ボアビットはそのメカニズムからして掘るというより削るという代物。
そのため、普通のドリルビットだと勝手に刃が入っていくのに対して、ボアビットだと全然入っていきません。ここに大きな差があります。なのでコツが要ります。
仕組を理解していれば、私も立ち止まることはなかったかもしれない
ボアビットと普通のドリルビットとの違いは、この動画が分かりやすいのでご紹介します。
私の実戦記 - うんていバー差し込み穴加工
さてそんなボアビットですが、私はうんてい製作時に初お目見えしました。うんていを設計した際、SUS管を梁に差し込んで結合する方法を選定したためです。
(お父さん、1か所穴が変な形になってない?)
(今度教えてあげるから今は無視してお願い)
ここで必要になった技術は以下の通り。
- Φ25mm及びΦ32mm、深さ20mmの非貫通穴 ×12か所
- 垂直に空ける
今まであけてきた穴はネジ下穴用Φ3.5mmとか。一番大きいのでボルダリングウォールのときのΦ12mm。しかし貫通穴。それなら普通のドリルビットであけれましたが、今回は非貫通穴。しかも大きさΦ25mmとなると次元が違います。初チャレンジ。
使用した工具
Φ25mmとΦ32mmの非貫通穴(座ぐり穴)をあけるために使用したのは以下の工具。
- ボアビット 25mm
- ボアビット 32mm
- 電動ドリル
ドリル?インパクト?
私が持っている電動工具はB&Dのマルチツールプラスというもので、ヘッドアタッチメントがたくさん付いてて変えられるようになっている超便利グッズです。
お金も収納場所もない私に最適
そして穴掘りに使えるアタッチメントとして、ドリルもインパクトも両方付いています。
そうすると悩みます。どっちが良いの?って。
結論、どっちでも良いです。いやほんと、どっちでもできるし、どっちでも一緒。
ただ後述する通り、ドリルガイドを使おうとすると、ヘッド部を掴む(クランプする)必要があるので、インパクトしか対応できません。正確にはインパクトでも対応できませんでしたが…詳しくは後ほど。
ドリルヘッドを使う場合は高トルクが必要なので、メモリをドリルに合わせて使いましょう。
掘れない原因は”気合い不足”?
準備は整ったのでいざ尋常に、勝負!とやってみたんですが…全然掘れないんです。
全然刃が入っていかない。電動工具が「もう無理ーっ!!」って悲鳴を上げているように感じる。痕を見たらなんか焦げてるし。
いやもうこれは完全になんかおかしいです。ボアビットが粗悪品だったか?とか考えましたが、いやいや怪しい海外製はやめて信頼の日本メーカーにしたんだ、信じたい。とは言え一応疑って、もう一つ買ったサイズ違いのもので試してみても、結果は同じ。掘れない・鳴く・焦げる。
困った、困ったです。ネットで調べても分からない。そんな折、工作作業が得意な友人(自分でブーメランとか作る人)に相談してみたら、家に来て試してみてくれるとのこと。
神降臨!
どれどれ…っと、彼に託してみると…掘れてる!掘れる!惚れる!
でも見てるだけじゃ何が違うか分からない。そのあと私がやってもやっぱりうまくいかない。
工具のせいじゃないことは分かった。じゃあ何が違うのか?彼に聞いてみると、
「気合いが足りない。もっと思い切ってやってみて」
と言う。そんなこと言われるの高校の部活以来だなとかちょっとセンチな気分になりながら、やってみる。もういいや、どうにでもなれってくらいの気持ちで、電動工具が泣き叫ぼうが知ったこっちゃないの精神で、おりゃーって。
そうしたら、掘れる!削れる!
なにこれ超楽しー気持ちー
気合い=押し付け力
楽しくなってどんどこ穴を掘り続ける私。ハッと気づいて、「気合いってなんじゃい!」って考えだしました。
彼曰く、ボアビットはその仕組みからして刃が食い込む必要があるので、押し付け力が相応に必要、とのこと。ここで言う刃は穴の底を削る刃のことです。
これがカンナのようになっているので、しっかり刃を木に押し付けてやって、噛ませないと始まらない。その証拠にほら、削り粉を見てごらん、と。
たしかにカンナで削ったような、粉というより片が出てます。うまく掘れなかったときの削り粉を今一度見てみると…
粉粉です。削れてない。削り始めてない。表面を高速で撫でてただけ。そりゃ焦げますよね。
ということで、ボアビットで穴をあけるためには「削る」イメージで押し付けながら作業することが重要です。
私は木材を地面にセットして体重をかけながら作業しました
ドリルガイドは必要?
うんていの設計的には穴は垂直にあいている必要があります。そうしないとバーが垂直に刺さらず、梯子形状に組み立てられないと考えたためです。
真っすぐ、垂直に…ならガイドが必要だ、と考え調べてみると、ドリルガイドというものがありました。
垂直ドリルガイド DS-70V
こちら、ボアビットやパイプカッターなどでもお世話になり、私的に信頼と実績を積み上げつつあるSK11ブランド。やけに安い(約2千円)から不安でしたが、SK11でダメなら諦めようということで購入。
ちゃっちそうなカラーリングとは裏腹に、鉄製なので結構ずっしりと重く、意外と頼もしさを感じました。
組み立ては簡単。ドリルは手持ちのB&Dを使います。
ドリルガイド選定時の注意点:首部
ここで注意点。ドリルガイドの仕様に書かれている、
ドリルクランプ径:43mm
このドリルクランプ径、どこのことかと言うと、
ここの直径のこと。すなわちドリル側にΦ43mmの固定部が必要です、ということ。調整代はほぼありません。
これ、実は全然気にせず買ったんですよ私。
安心のSK11に目がくらんだのか…
Φ43mmの固定部とはどういうものか。例えばこれ↓
首部というのが存在し、首部径が43mmになっています。
私が持ってる電動ドリルは、ドリルアタッチメントにもインパクトアタッチメントにもΦ43mmの固定部がありません。
なので、ちゃんと固定できません。一応、なんとかインパクトアタッチメント先端のゴム部にクランプして、格好は付きます。
が、本来の仕様とは違うので、性能が保証されません。現に私の場合、これでやっても全然真っすぐの穴があけられませんでした。みなさんは注意して下さい。
ちなみにΦ43mmの数字についてはあまり気にする必要なさそうです。首部のあるDIY用ドリルは見た感じ43mmで統一されていました。
ということで、ドリルガイドの本領を発揮できずじまいだったため、詳細レビューは省略します…
ドリルガイドなしだとどうなる?
そんなこんなでドリルガイドに頼らず垂直の穴をあける必要が生じた私。ではどうしたかと言うと、それはもう真上からなるべくまっすぐに掘るという感覚的・原始的なやり方をやりました。
こうなったら気合いだーっ!!
全然参考にならないんだけど
でどうなったかと言うと、こうです。
これじゃあ組立たないなぁと思いますよね?私も思いました。が、ちょっと自信もあったんです。
なぜなら木は柔らかいから。手でバーを持ってグイグイっとやったら穴をよしなに変形させられて、都合よいようにバーを真っすぐにできるんじゃないか?って考えました。ってことで力づくでやってみます。すると…
矯正できました!もちろんこの方法を使うと穴が大きくなってしまうので、ひどい場合はガバガバになってしまいすっぽ抜けます。なので、しっかり嵌めたい場合はこの策は採れません。
しかし私が作ったうんていのように、とにかく梯子に組めれば良くて、ガバガバになってしまってバーが回転してしまうような場合は接着剤を隙間に埋めて固定するという策も採れます。
神経質に垂直に穴をあけることに固執しなくても、柔らかい木であればあとからできる対策も色々あるよ、というのが伝えたいことです。
ボアビットによる穴施工テクニックまとめ
初めての大きな座ぐり穴加工では、途中幾度と立ち止まってしまいましたが、無事解決してうんていの完成までこぎつけました。まとめると「気合いでクリアできる」ということになりますが、本記事でその気合いの中身をお伝え出来ていればと思います。
本記事がみなさんのチャレンジの参考に少しでもなっていれば幸いです。
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