宇宙開発企業「SpaceX」や電気自動車メーカー「テスラ」などを手掛けるイーロン・マスク(wikipedia)氏。2019年にフォーブスが発表した「アメリカで最も革新的なリーダー」ランキングでジェフ・ベゾス氏(Amazon元CEO)と並び第1位の評価を受けるなど、その類まれなるカリスマ性で高い人気を博しています。
宇宙開発を生業とする私はかねてより、もれなくイーロン・マスク氏の大ファン。彼が本気で目標にしている「人類を多惑星種にする」「火星への移民構想」はとてもワクワクしますし、それに向かって進める宇宙開発のスピードは、文字通りこれまでと桁違いと言っても過言ではありません。
おかげで私の夢の実現も現実味を帯びてきている
そんな魅力的なイーロン・マスク氏が、SpaceXのテキサス工場スターベース内を歩き回りながらインタビューに答えるという動画がこの度公開されました。
宇宙開発・ロケット開発をする者として学びを得ようと見始めた本映像ですが、その内容は非常に示唆に富んでおり、仕事のやり方のみならず子育てなど普段の生活にも通ずるところがあるなと感じるに至りました。
マスク氏が歩んでいるのが前人未踏の道であることに疑いようの余地はありませんが、私たちひとりひとりが歩む人生の道もまた、初めての体験でありながら目標・夢の実現を目指すという部分において、似ているところがあると思っています。
そこで本記事では、イーロン・マスク氏への約2時間にもわたるインタビュー映像から、私が得た気付き(insight)をまとめ、さらにそれらが自分ゴトになるよう子育てや家事に活かす学び・教訓にまで変換してみようと思います。
日本語字幕が優秀で理解に十分でした。ありがとうGoogle!
Youtubeの日本語字幕機能を活用して視聴しましたが、本記事でピックアップしているような重要ポイントにおいては、極力正確にマスク氏の考え・意図を汲み取りたかったため、元の英会話(&英語字幕)を直接聞いた上で、私の拙い英語力で意訳して日本語化しています。そのため、解釈誤りなどもあるかと思いますがご了承下さい。
また、引用中の括弧書き”()”は、マスク氏が直接発言したわけではないものの、補足があった方が分かりやすいかなと思って私が書き加えたものです。
お気づきの点がもしありましたら、コメント欄などでご指摘頂けますと嬉しいです。
「自分はきっと間違っている」
まず一つ目の学び、それは「自分はきっと間違っている」というマスク氏のスタンスです。これは映像内の随所で見られます。
とりわけ、宇宙船Starshipの断熱材(宇宙からの帰還時に、大気圏再突入の高温から機体を守るための部品)について語った時のマスク氏は、こう畳みかけます。
Take a lot of what I’m saying with a grain of salt. I often am wrong.
私が言ってることは疑ってかかって聞いてください。私はしばしば間違っています。
引用元:part2の37:50あたり
SpaceXではこれまでいくつもの前人未踏を達成してきており、マスク氏の印象は「なんでもお見通しの天才」といった感じです。そんな彼が、ここまで「自分は間違っている(から話半分に聞いておいて)」と念押しする姿勢には、正直驚きました。
自分を卑下しているわけではなさそうで、本当にそう思っている感が伝わります
背景にあるのは「数々の失敗経験」
マスク氏がなぜこんなスタンスを取るのか、それはどうやらこれまでの失敗経験に基づいているようです。
このインタビュー内でもいくつかの失敗談が紹介されています。教訓となった例として挙げられているのが、テスラにおける電気自動車開発時のエピソード。要約するとこんな感じです。
電気自動車テスラのバッテリーパック上部にグラスファイバーマットがありまして。このマット施工の工程が大変で、バッテリーパックの生産ラインがひっ迫してしまう問題が発生していました。
そこでこの問題を解決するために、マット施工で用いられるロボットを改善したり、マットの接着方法を変更したりを試みました。そこまでしたあとにやっと、聞くことができたのです。「で、このマットは何のためにあるんだ?」と。安全担当チームは「安全上は不要です。騒音・振動対策のためですよね?」と答え、騒音・振動対策チームは「火災安全のためです」と答えました。
その後、マット有無で火災や騒音・振動のテストをしたところ、有意な差は見られなかったため、マットは削除することになりました。それ以来、200万ドルのロボットは何事もなかったかのようにラインからスルーされています。
引用元: step1の22:00頃
目の前の問題に対処することに躍起になっていたけど、ふと気づいて調べてみたら、そもそも要らないものだった。開発初期の要件定義(何が必要かを決める段階)における間違いだったわけです。聡明なマスク氏ですら、この間違いに気づくまでに多大な時間とお金を要したようですが、さらにこのような失敗を何度も何度も経験してきたとマスク氏は言います。
「間違っている」という前提で修正しながら進める
これらの失敗経験を通して、もはや人は(自分も含めて)間違うことを回避できないと考えたマスク氏は、「きっとまた今回もどこかで間違っているだろう」という前提で仕事を進めることを基本動作としているようです。すなわち、いかに早く間違いに気づき、そしてムダな作業を減らすかに注力する、という姿勢です。
この姿勢は、マスク氏が大切にしているという「5つのステップ」でも表現されています。
- 要件定義におけるバカなことを減らす
- プロセスを削る
- 最適化
- 高速化
- 自動化
先のバッテリーパックの例は、問題解決の際にこの5つのステップを逆行してしまった例。自動化プロセス(ロボット)を改善し、さらなる高速化を進め、最適化の見直しを行ったあとに、「そもそもこれ要るの?」と気づいたそう。要はステップ1の要件定義(どういう機能・性能が必要か?の洗い出し)がバカだった(間違っていた)わけです。
この失敗(ムダな改善作業)を繰り返さないためには、5つのステップの順番を忠実に守ることが大切、とマスク氏は言います。
リスク予期能力の限界を認識する
誰も達成したことがないことを実現しようとすることは、目標を見定め、自分で道を作って進むことに他なりません。前人未踏の領域に足を踏み入れることになるので、そこは当然不確実で不確定な、いわゆるリスクの高い世界です。
宇宙開発はそんな高リスクの世界に挑む最たる例で、いかに事前にリスクを予期し、先手を打ってリスク低減するかに注力するスタイルを基本としてきました。検討結果に対するレビューは手厚く多くの時間と人手をかけますし、地上で行う試験も「これでもか!」ってほどにしつこく厳しく行われます。
しかしマスク氏のスタイルは少し異なります。リスクを事前に予期するのは難しいと、ある意味諦めて開き直るスタンスです。ここでも実例を挙げてその経験を語ってくれています。
スターシップがフライトテストで爆発したとき、開発時に作ったリスクリストにその原因が挙げられていたか確認してみました。すると原因のひとつも載っていなかったんです。誰かのリスクリストには載っているだろうと思うだろうけど、事前に検討されなかったのです。
引用元: step1の33:00頃
一生懸命考えてデザインしても、ロケットのようにこれだけ大規模で複雑なシステムになってくると人知を越えてくるので、事前にリスクを予期して対策することは難しい、ということをマスク氏は数々の失敗経験で体感しているようです。
なので、さっさと作って・やってみて・リスクを抽出・顕在化させようというスタイルが採られています。
リスク予期の難しさゆえ、何度も爆発させてリスクを顕在化させた例としてスターシップのフライトテストが挙げられています。スターシップテストについてはこの動画が端的にまとまっているのでご紹介しておきます。何度見ても楽しいです。
ちなみに、マスク氏が言及していた「リスクリストに原因が載っていなかったスターシップの爆発」ってのは、SN10で着陸後に爆発した件のことじゃないかな?と思います。
反復を基本として修正し続ける
リスク予期には限界があるという前提に立つマスク氏が採っているのが、さっさと作って・失敗して・学ぶという方法。この反復サイクル(イタレーション:iteration)を素早く何度も回すことでリスクを漏れなく抽出・顕在化させ、対策をとっていくことで実フライトでのリスクを下げるという開発手法です。このプロセスで得た学びを徹底的に反映させることで、高信頼性を獲得するわけですね。
反復の機会を確保する大切さ
インタビュー内で、スペースシャトルの事故についても触れています。マスク氏は、スペースシャトルの2度の事故の背景には反復回数(iteration)の少なさがあったと指摘します。
スペースシャトルはイタレーションする余地がほとんどありませんでした。人が乗っていたからです。だから爆破させられなかった。これは大きな問題です。実際、イタレーションの欠如が問題だったのです。
開発者たちは事故の原因に予め気付いていましたが、「変える」ことを過度に恐れ変更しませんでした。
ここにリスクと報酬の非対称性(risk/reward asymmetry)があったと理解しています。すなわち、変更を加えたとき、うまくいかなかったら大きな罰が与えられるが、うまくいったときに得られる報酬はずいぶん小さい、といった具合です。(これだと変更しようとするモチベーションは生まれませんよね)
そのため、Oリング問題も断熱材剥がれ問題も、事故が起こる前から把握されていたにもかかわらず、変更されなかったんです。
これまで機能してきている、という安心感で変更せずに来てしまいましたが、ロシアンルーレットが機能していただけなのです。
引用元:part2の7:00あたり
このイタレーションを速く回すやり方は、不十分なリスク予期能力を補うだけでなく、予期されたリスクへの対応を素早く着実に反映することにも効果を発揮するということが理解できます。
いかに早く学ぶか
自分はきっとどこかで間違っているし、未来を正確に予測することもできない。だからマスク氏はいかに早く学ぶかに注力しているようように思えます。インタビューの最後の方で、はっきりとそう語る姿もありました。
初期の生産はすべて学習経験(Learning exercise)であると捉えています。初期生産は長期的なものになりません。一番の大切な問いは「この短時間でどんなことを学べるか?」です。
引用元:part3の17:00あたり
開発の初期プロセスは全てLearning exerciseだと言い切っています。設備導入などが必要なため比較的フットワークが重くなりがちな生産プロセスにおいても例外ではない模様。反復を基本とし、変更を快諾するマインドセットがあるので、サンクコストは必要経費だと割り切って怖くないのでしょう。
超精密なキャノンボールにはならない
インタビュー中に「〇〇の計画はどうなってる?」と聞かれたマスク氏が「それは変更されたよ」と答えている場面が何度かあります。ここでも柔軟に変更する方針が見て取れます。
そこに込めた思いを語る場面がこちら。
状況は急速に変化しています。だから…そう、誘導ミサイルのように考えてください。誘導ミサイルが誤った方向に行くことは良くありますが、軌道修正されますよね。(我々がやっていることも同じです)
ターゲットがわからないときは、超正確なキャノンボールではダメなんです。
(方向を決めて真っすぐ突き進むのではなく、軌道修正を柔軟にするような)全体にわたる最適化が、火星都市の実現には近道と考えています。
引用元: part3の16:20あたり
マスク氏の最終目標である「火星都市」、またそれに必要な段階的目標として「完全再使用可能なロケット」や「軌道到達」。これらの実現スピードを最速化させようとするとき、その道は前人未踏であるがゆえ、結果的にクネクネ紆余曲折しながらであったとしても進んでは学び、修正してまた進む、を繰り返しながら向かうのがベストと考えているようです。
周りの状況が変わるのはもちろん、進みながら知見を得ていくと、また新しいアイデアが生まれたりもしますからね
命がかかると失敗できない。逆に…
先にも出てきましたが、スペースシャトルの事故について語る場面で、人が乗っている場合は爆破できないがために失敗して学ぶというサイクルが回しにくい、とマスク氏は言います。
人が乗っていると、反復(iterate)するのは大変です。爆破することができないから。
スターシップには(まだ)誰も搭乗していないので、爆破することができます。これは本当に役に立ちます。
引用元:part2の8:20あたり
SpaceXの製品群で言うと、宇宙飛行士が登場して国際宇宙ステーションへ向かう「ドラゴン」がこれに相当します。
他方、スターシップやファルコンでは人が乗っていない段階において失敗できます。
(人が搭乗するドラゴンには)たくさんのマージンが必要で、決して失敗することはできません。どんな理由でも。あってはいけない。これは極端な保守主義のようなものです。
ファルコンではこの保守主義を少し取り除きました。なのでちょっとした失敗が許容できます。例えば着陸時のブースターの故障などです。世界の終わりではありません。
引用元:part2の5:10くらい
スターシップは人を乗せて火星に行くための乗り物です。しかし人を乗せてからでは失敗できない。そのため、失敗できる実験段階のうちにたくさん失敗して学び、信頼性を高めるというアプローチが徹底されています。
逃げ方がうまくなるより鍛えて逞しくなった方が良い
従来の有人ロケットでは、ロンチアボートシステム(LAS)という脱出装置が付いているのが普通でした。打上げ時にロケットが危険な状態になった際、脱出装置が作動して宇宙船だけが独立で分離してロケットから脱出し、搭乗員の命を守る、という考え方に基づくものです。
しかしながら、スターシップではこの脱出装置の類を持っていません。ここでの搭乗員安全に対するマスク氏の考え方もまた、示唆に富んでいると感じました。
(打上げ脱出装置に関する考え方に関して、)基本的に必要なのは「たくさん飛ばすこと」と「たくさんの冗長性」だと考えています。いくつかのエンジンを失っても飛行に問題ないようにするべきです。
打上げ脱出装置というものは基本的に、打上げ上昇フェーズでのみ搭乗員を守ることができます。もっと言うと、ほとんどの脱出装置は、そのフェーズのごく一部だけでしか搭乗員を守れません。(中略)。すなわち、軌道に乗るまでの間ずっと脱出手段を確保するということは叶いません。ドラゴンではこの上昇時の全フェーズでの脱出を可能にしました。これは安全性の向上だと思います。
しかし、そのあと、(そのドラゴンでさえ)地球に戻ってくるときの脱出手段はありません。そのようなものは一切存在しません。とりわけ、月や火星においては脱出装置を持つことができません。パラシュートでの緩降下に必要な大気が十分に存在しないからです。超高速で地面にぶつかることになるでしょう。明らかに救えません。
そのため、宇宙船は十分に安全でなければなりません。脱出装置なしに。そうしないと、月にも火星にも行けません。(火星に行くことを目標にしている以上、)地球でもそれをやるのは無意味です。たくさん飛ばして信頼性を高めるしかありません。
引用元:part2の8:50あたり
要は、ライフサイクルの一部でしか有効でない脱出システムに労力を割くよりも、船自体の信頼性を上げる方が本質的な安全性向上に効果的だ、という考え方です。また、月や火星など地球外への着陸を見据えるとなおさら、地球上での脱出装置の開発に注力することはもったいない、とも言えます。ごもっとも。
とは言え、「安全」と「安心」は似て非なるものなので、乗船者の安心感のために脱出装置は必要な場面もあるかとは思います
デザインより製造の方が1000倍大変
今回のインタビューは工場内で行われたということもあり、冒頭から製造に関しての話題が展開されました。その中でマスク氏は、製造は過小評価され、デザインは過大評価されているとアツく語っています。
製造(の仕事)は過小評価され、デザインは過大評価されています。人々は、エウレカモーメントのように何かアイデアをひらめいたとき、それがすぐできて終わると思っているけど、その実現のためにはデザインの1000~10000%もの仕事が製造過程で必要だと思います。
例えば、ラプターエンジン(スターシップに使われるロケットエンジン)について、エンジン自体のデザインより、製造システムのデザインにどれだけ注力したか。10~100倍です。なので、私たちのエンジン自体のデザインの労力はゼロに切り捨ててしまえるほどに小さいです。製造システムのデザインにおける労力に比べると、ですね。(中略)
製造の仕事はあまりにも過小評価されています。特に「何か新しいもの」を製造した経験のない人には理解できないと思います。よく思われるのは、デザインが難しい仕事で、製造はただデザインを真似するだけだということですが、これは完全に間違っていると思います。
引用元:part1の3:40くらい
とりわけロケットエンジンについては、過去にロシア(旧ソ連)でたくさんのデザインがすでに生み出されており、先人から学ぶことでデザインは省力化できていると言います。あとはそれをどうやって必要な条件で実現するか(例えば低コストに)、が我々の解くべき問題ということですね。
難しいものはあとで仕上げる
さらにマスク氏は、ロケット自体のデザインより製造システムのデザインの方が難しいし、良い形を作るのに時間がかかると言います。そのため、このテキサス工場スターベースでも、最初にロケットを作ってその周りに工場を作っていくというプロセスが採られています。
インタビュアー:とてもユニークだと思うのですが、(ここスターベースではスターシップの製造において)ロケットを先に作って、その周りに工場を建て始めました。
マスク氏:ええ、そうです。生産システムの方が実際に難しいです。ロケットのデザインは、工場に比べて比較的簡単です。(だからあとで作りました)
引用元:part2の44:00くらい
難しいものはあとで仕上げるという考え方を、実際にすごい大規模でやってのけていて、とても面白いです。
子育て・家事に活かす学び・教訓
ここまでで、マスク氏のインタビュー動画から得た気付きの数々を列挙してきました。これらはどれも示唆に富んでおり、日々の生活に活かすための学び・教訓にまで落とし込めそうです。その作業は生活の中で都度行っていきますが、ここではこの機に「子育て・家事」に活かせそうな学び・教訓にまで変換してみようと思います。
アイデアより「実行」の方が1000倍大変
「デザインより製造の方が1000倍大変」と語ったマスク氏。デザイン・ひらめき・アイデアというのは比較的難しいものではなく、また先人たちが培った知恵・経験から学ぶことで省力化もできる。なので、注力すべきは実行の方。
インプット時間を意識的に減らしても良いくらい
どぅーん !
親として、子供たちのため・家族のために良いと思ったアイデアはどんどん試してひとつでも多くのものを実現させたいと思います。そして子供にも、アイデアを脳内に留めず、実際にやってみてどうなるか試すというところまで動けるように促してあげたいなと思いました。
スマホ見る時間減らそ
I’ll do it !
小手先のスキルより基礎力
ロケット打上げ時の脱出装置に対し、「脱出装置だと全フェーズで搭乗員を守ることができない。それより機体自体の信頼性を上げることに注力すべき」という趣旨で語ったマスク氏。
これを人間に置き換えて考えてみると、「小手先のスキルだと不足の事態に対して柔軟に対応できない。それより基礎力を向上させることに注力すべき」と言えます。
キソってなにそれおいしいの?
ここで言う基礎力とは、私は「強靭な”体力”と”精神力”」と考えています。知力ももちろん大事ですが、日本で普通に過ごしていれば最低限の力は身に付くと楽観しています。体力・精神力はそうはいきません。これが、私が動育を行う理由のひとつです。
動くの大好き
体力・精神力を鍛える軸として運動に投資し、基礎力を醸成するとともに、考えるだけでなく体を動かせる行動力も身に着けさせてあげたいなと思います。
毎日くたくたになるまで遊んで早く寝てね
安全・安心を確保して「失敗できる環境」を作る
「(スペースシャトルのように)人が乗っていると、反復するのは大変です。爆破することができないから」と語ったマスク氏。反復により早く失敗して早く学ぶことを大事にしているマスク氏にとって、人の命がかかる環境は大きな障害になってしまいます。
イノチ、ダイジ
これは子育てでも強く共感する部分です。子供たちに失敗も含めた良い経験をさせてあげたいと思う一方、命が脅かされるような場面では保守的にならざるを得ません。
とは言え、そんな考えでこう着状態になってしまっては文字通り動けなくなるので、どうするか。できることのひとつは環境整備と思っています。
コーチャク!カンキョー!
例えば、家の中に運動できる環境を作り、そこに公園では実現できないような安全対策を施す。そうすると死傷リスクを下げられ、本質的な安全性だけでなく、親も子供も安心感が増します。
思いっきり遊ばせられる安全・安心な環境を整備することで見守りの徹底をサポートし、たくさんの失敗を経験しながら基礎力を鍛えてもらえればと思います。
グッとこらえて「見守る」ってほんと難しい…
分からないこと・できないことは”小さく実験する”
計14名の宇宙飛行士が亡くなったスペースシャトルの事故には、反復(イタレーション)の少なさが背景にあったとマスク氏は語りました。
先人が得た教訓を今に活かすことも大切ですね
「反復の機会を確保することを重視する」「早く学んで着実に反映する」という考え方は、子育てでも大いに参考になります。
子供たちが将来、大きな致命的な失敗をしないために、今子供のうちに、親元にいるうちに小さく実験して早く失敗させてあげることが大切だと考えます。
がんばって見守ってね、ママ
その失敗からたくさん学び、同じ失敗をしないように今後の行動や考えに反映することを繰り返せば、きっと将来の致命的な失敗を防ぐことに資するでしょう。
”何かを学ぶのに、自分自身で経験する以上に良い方法はない。”
”間違いを犯したことのない人とは、何も新しいことをしていない人だ。”
自動化・最適化の前に「そもそも要る?」を問う
マスク氏が全社員に実装しようとしていると語るほど重要視している5つのステップは、とても示唆に富んでいて、子育て・家事にも活かせそうです。ここに再掲します。
- 要件定義におけるバカなことを減らす
- プロセスを削る
- 最適化
- 高速化
- 自動化
ステップ後段にある高速化や自動化は、子育て・家事においては便利グッズを買うことで比較的簡単に達成できることがあります。「食洗器」しかり「乾燥機付き洗濯機」しかり。
しかしながら、モノを買う・増やすのはデメリットがあるのも確か。
おかね、そんなないよ
あそびばを減らさないでください
関係なく遊んじゃうもんね♪
高コストだったり、場所を取ったり、危険度が増したり、などなど。家の中を遊び場にしているわが家としては、モノを増やすのは極力避けたい思いがあります。
モノが増えると配慮しないといけないことも増えるので、頭が忙しくなります
高速化・自動化のためにモノを買う・増やすという選択肢を採る前に、今一度「そもそもその作業、ほんまに要るんかい?」という視点を持つことを徹底したいと思います。これまで実家の習わしや世間の常識などから「当たり前」になっていた習慣・既成概念に対しても疑ってかかりたいなと。
洗濯物たたむプロセス、要らないと思うんですよねー
干したのと同じ状態で収納できる気がするー(野望)
どこにそんな場所あんのよ!
「自分は間違っているかもしれない」と自覚する
最後はこれ、マスク氏の根幹にあるよう感じた「自分は間違っているかもしれない」という前提で意思決定・行動をするという姿勢。無知の知とも言えるこのスタンスを持つことで、良い人格が形成されると思います。具体的な効果はこんなところでしょうか。
- 学び続けようとする姿勢
- 未知のものへの好奇心
- 自他の間違い・失敗への寛容
- 他人の意見の尊重・傾聴
子供たちが無知の知の境地に達するのはまだまだ先でしょうが、親である私はこのスタンスをしっかり持ち、子供たちや妻に対しても謙虚で誠実にありたいと思います。
なんか最後やけにキレイに整えたわね
イーロン・マスク氏から得た学び まとめ
インタビュー動画があまりにもエキサイティングだったので、このワクワクをなんとか残そうと思って気楽な気持ちで記事を書き始めましたが…、とっても長くなってしまいました。
時間はかかりましたが、おかげで単なる「なるほどな」から「自分ゴト」にまで変換できました
宇宙業界や自動車業界で破壊的イノベーションをもたらし続けるイーロン・マスク氏は、ソフトウェア開発で近年用いられる「アジャイル開発手法」を、ロケットや自動車といったハードウェアにも適用したことで、尋常ではない開発スピードを発揮し、そして見事なマーケットフィットを達成しているんだと思います。
アジャイルの本質は「小さく速く失敗する」ことだと私は思っていて、最近の私の座右の銘にもしています。今回、マスク氏のインタビュー映像を観て、その思いを強くした次第です。
不確実・不確定な目標に最速で向かうためには「小さく速く失敗する」ことが大切。そのポリシーを携えて、初めての子育て、初めての人生を、目標に向かって楽しく歩みたいと思います。
最後は、マスク氏が汗だくになりながら残した熱いメッセージを引用して締めます。
多くの人が、ロケットがどう機能するかや、他惑星での生活や移住について考え、心を躍らせるのは、とてもクールな事だと思います。これらは未来を活気づけることになり、人々の想像力をかき立てるものになるはずです。こうしたことによって、多くの人が未来に自信を持つことを願っています。人間は宇宙で素晴らしい未来を築けるはずです。
サイエンス・フィクション(SF)は作り話であり続けるわけではなく、いつの日か現実になるのです。
We can make science fiction, not always fiction, but a reality one day.
引用元:part3の18:45くらい
最後までお読みいただきありがとうございました。
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